フォトコミック CANDY
60年代おしゃれカルト映画の金字塔『キャンディ』主演エヴァ・オーリンの魅力たっぷりなフォト・コミック! 『博士の異常な愛情』や『イージーライダー』の脚本でも知られるテリー・サザーン原作によるキュートでエロチックなコメディ映画『キャンディ』。
しどけない顔をした金髪グラマラスな無垢な少女キャンディが、あらゆるタイプの男たちに組みしかれながらもどんどん愛を受け入れて行くというフリーセックスを象徴的に描いたもので、男優陣にはマーロン・ブランドにリチャード・バートン、リンゴ・スターといった錚々たるメンツが並ぶ。
そして、それらキャンディを通過した男たちが注射器を腕に刺し、無邪気な子どもに変身する脇をキャンディが颯爽と歩きさるという荒唐無稽なラストシーンにも見られるように、『キャンディ』は60年代アメリカのサイケデリック革命をシニカルに描いた作品であり、そのカルトさゆえに1968年の公開(日本公開1970年)以後長らくお蔵入りになっていた。
そんな『キャンディ』が再び脚光を浴びるようになったのは、主人公を演じたエヴァ・オーリンのぽっちゃり丸いロリータ顔と60年代ベビードールなサイケファッションによるところが大きいだろう。
このエロかわいいイメージは、まずはグラフィックデザイナーやDJのような目利きによって好まれ、次第に1990年代〜2000年代のファッション紙やカルチャー誌においてたびたび紹介されてきた。
原作本やサントラレコードは古書店や中古レコード店でもレアな商品で、その購買層は女性が多かったそうだ。そんな素地もあって映画は2003年にリバイバル上映された。そのときプチグラパブリッシングによって制作されたのが、このコミック仕立てのスチール写真集だ。
主人公キャンディの男性遍歴ごとにキャプチャーがたてられ、写真とフキダシによるダイジェストでおおまかなあらすじが読めるようになっている。
見所はリンゴ・スター含む男優とのエッチなシーンもさることながら、やはりロリータ全開のエヴァ・オーリンの佇まいだ。リバイバルされた際にも女性客が多かっただけに編集には女性目線が光る。
章扉の対向ページには高円寺にあるマニュアル・オブ・エラーズでバイヤーをつとめていたDJのミズモトアキラやプチグラの代表を務める伊藤高、ファッションディレクターの田所郁江らカフェ&クラブカルチャー陣営の寄稿文。カバーのないペーパーバックの装丁は女子のハンドバックにするっと入る大きさ。
紅一点の田所はこのように書いている。「健康的なエロチシズム。やっぱりおしゃれに上手に着てみたい!」
それが多くの女性の意識であったことはあきらかで、サイケデリックファッションはすでにブームではなく定着した感もある。股の露出の高いキュロットスカートやショートパンツなどもまだまだ健在だ。
現代ファッションと『キャンディ』の親和性は高いのである。そういう意味でもこの本は女性にオススメです。
Text by 草刈朋子
キャンディ / Candy
製作国:アメリカ
製作年:1969年
公開年月日:1970/09/12
製作会社:クリスチャン・マルカン・プロ
配給:松竹映配
カラー/アメリカンビスタ(1:1.85)/35mm/モノラル
上映時間:124分
監督:クリスチャン・マルカン
製作:ロバート・ハジアグ
脚色:バック・ヘンリー
原作:テリー・サザーン、メーソン・ホッフェンバーグ
撮影:ジュゼッペ・ロトゥンノ
音楽:デーヴ・グルーシン
主題歌:ザ・バーズ、ステッペンウルフ
出演:
エバ・オーリン、リチャード・バートン、マーロン・ブランド、リンゴ・スター、ウォルター・マッソー、シャルル・アズナヴール、ジェームズ・コバーン、ジョン・ヒューストン、エルザ・マルティネッリ、ジョン・アスティン