KAMON / 田名網敬一

アート界の巨人、田名網敬一による“家紋ワールド”でサイケデリック・ミステリーツアー体験を!        1936年に京橋の服地問屋に生まれた田名網敬一は、幼少の頃より生家の屋根裏部屋にこもっては洋服に貼るための商標(ネームプレート)を見るのが好きな子どもだったという。真っ赤な空に極楽鳥が飛んでいる図案、ピンクのラクダが金色の砂漠を歩いている図案……そのような極彩色のデザインをむさぼるように見て育ったという。それから70年弱の歳月を経て、田名網敬一は「家紋」の絵本をつくりあげた。

田名網敬一のグラフィックは基本的に派手である。原色が多用され、ドットや放射線、幾何学的な整然としたパターンのなかに、今にも崩れそうな金魚やどろっとした松の木などの有機的なフォルムが表現されているものが多い。とてもカラフルなのだが、実は黒色も多く使われているのが特徴的だ。本書『KAMON』は、本来白黒で表現される家紋が田名網マジックによって極彩色に彩られてはいるものの、ふちは黒く、極太である。よく見ると、線はかすれ、塗られた面にアレやブレがあり、時間を経て醸し出されたサビのように見える。だからなのか、家紋は黒い色によって生命を与えられたかのように脈を打って見えるのである。

「面白いのは、たとえば、恋人同士が一緒になるとき。当然、二人の家紋は違っていて、その二つの家紋を組み合わせて一つの家紋にしたなんていうこともあった らしいんです。ロマンチックでしょう。それに自分の家紋は分からなければ、好きな家紋を応用して自由に作ってよかった。だから、今日ある家紋というのは、 どんどん変化した結果、生き残ったものなんです。それが日本の家紋の面白さなのね」(SHIFTホームページより)

そう田名網自身が語っているように、組み合わされた家紋は一見もとの原型がどこにあるのかわからないほどミックスされ、まるで妖怪のように擬人化されている。

が、もしかするとこれは「隠し絵」なのではないかとも思う。カバーをめくったところには、もとの家紋が70個印刷されているから、「どこにあるのかな?」と親子で楽しむことができるというわけだ。ただ気になるのは、この本が持つ黒いまがまがしさである。絵に寄せられたボアダムスのヤマタカEYEの文章もまた呪術的でちっともわかりやすくないのだから、「子どもに買ってあげよう」と思うにはなかなか勇気のいる本である。

とはいえ、「子どもらしい」ものの多くが、大人の都合で考えられたものであることを思うと、この絵本に表現された“家紋お化け”こそ、子どもの真性をよく考えてつくられているのではないかと思ってしまう。なぜなら、田名網敬一は70年代に創刊された日本版PLAY BOYのアートディレクターというキャリアをこなしてきた人だが、その一方で子どもに関する仕事も行なってきた。2006年に休刊したクレヨンハウス発行の月刊『子ども論』では長い間表紙に「子ども」をテーマとしたグラフィックをきっちり描いてきた。当時、クレヨンハウスの編集部で別の雑誌をつくっていた私は、田名網さんのアートワークを端で見ながら、説明のつかないマジカルな面持ちになったことを覚えている。『KAMON』の世界観は、そのときの絵と非常に通じるものを感じる。なにか「子ども」を通り越して、「原始」にふれているような思いがするのである。

田名網敬一は自身の創作の源について、それが幼年時代に培われたものだと多くの場で語っている。この作品集にしろ、かつて薄暗い屋根裏部屋でカラフルな商標に目を輝かせた子ども時代の感性がベースになっていることは間違いない。そして、育った環境は違えどもそのような感受性は決して特別ではなく、どの子どもも持っている、あるいは大人も持っていると、田名網敬一は言いたいのだと思う。つまり、それがサイケデリックの感受性なのだ。

Text by 草刈朋子




1960年代より、過激かつスタイリッシュな視覚表現で、つねに世界の注目を浴びてきたグラフィックデザイナー、田名網敬一。独特なグラフィック・アンテナが、家紋に息づくポップセンスと見事にシンクロ。家紋本来の形はそのままに、回転し、踊り、はじける家紋たち。田名網流・新時代のKAMON遊びにヤマタカEYEの言葉が木霊して、一冊の絵本となりました。

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