ジョン・コルトレーン 私は聖者になりたい / ベン・ラトリフ
ジャズを「音楽」から「哲学」へ変えた男のストーリー ジョン・コルトレーンが発した、あまりにも有名な台詞がタイトルに据えられた本書。「ジョン・コルトレーン 私は聖者になりたい」は二部構成になっている。一部はコルトレーンの自伝的内容で、二部はコルトレーンが同世代、後世のアーティストに与えた影響について語られている。かっこ良く言えば「コルトレーンはいかにして聖者になったか」とも言えるだろう。そして、それらのアーティスト達がコルトレーンの音楽を、もはや哲学と呼べるレベルで解釈している。主にジャズのアーティストが多いが、サンタナやイギー・ポップの名前も登場する。
コルトレーンに関する書籍は多く既に世に出ているわけで本書の見所は二部だろう。ただ第二部は、分かりやすく書いてはあるが、ちょっとジャズの事を分かっていなければキツい所もあるのでご注意を。その余りにストイックな彼の姿勢に、コルトレーンがジャズから楽しみを奪ったという批判もあったようだが、彼の高潔な意思は妻、アリス・コルトレーンに受け継がれ、甥っ子スティーブ・エリソンもフライング・ロータスとしてジャンルは違うが、伯父と同じように高みを目指している。
求道者ジョン・コルトレーンの生前、そして死後の「ジャイアント・ステップス」が分かる一冊だ。
text by 和気充郎
■目次
イントロダクション
第一部 コルトレーン音楽の変遷
第一章 ウィリー?メイズって誰だい?
第二章 これといった成果はなく…
第三章 プレスティッジ
第四章 理論マニア
第五章 ヴァンガード=先駆者
第六章 二つのコンセプトの同時進行
第七章 最高の善
第二部 コルトレーンが与えた影響
第八章 そのスタイル
第九章 スピリチュアル
第十章 おまえは死ななければならない
第十一章 暗い日々
第十二章 次のコルトレーン
訳者あとがき
出典と謝辞/notes/ディスコグラフィ