ロッカーズ 25周年記念盤 DVD

1970年代のジャマイカのレゲエ・カルチャーをリアルに伝える伝説のラスタ・ムービー! キューバの南に位置するジャマイカは、日本の秋田県とほぼ同じ面積を持つ山がちな島国である。コーヒー産地で有名なブルーマウンテン山脈を筆頭とする中央部の山岳地帯から120にも及ぶ川が流れ出し、島の熱帯雨林をうるおしている。かつてこの島に住んでいた先住民のタイノ族は、豊かな自然に恵まれた土地を「森と泉の島」を意味する「ザイマカXaymaca」という言葉で呼んだ。それが「ジャマイカ」という国名の由来となっている。

タイノ族は、紀元前600年頃南アメリカの北海岸からこの地に移り住み、約900年間この地に居住したと言われている。しかし、1494年にジャマイカがコロンブスによって発見され、その後スペイン領になると、タイノ族は奴隷としてさとうきびプランテーションで働かされ、ほどなく絶滅してしまったという。

その後、ジャマイカには新たな労働力として西アフリカから大量の黒人が連れて来られた。プランテーションの労働は厳しく、多くの黒人が亡くなった。だが、ヨーロッパ、西アフリカ、植民地をつなぐ、いわゆる「三角貿易」によって黒人は補充され、人身売買とヨーロッパ人のための砂糖の生産は止むことがなかった。

ジャマイカはその後1670年にイギリス領となる。それから約300年間、ジャマイカはイギリスのカリブ海における貿易拠点として、多くの黒人の犠牲のもと発展するのである。ジャマイカがイギリスから独立するのは1962年のこと。そして、わずか15年後に撮影されたのが、本作『ロッカーズ』である。

前置きが長くなったが、『ロッカーズ』が撮影された1977年とはそのような植民地時代の記憶が人々にまだ生々しい記憶を残していた時期であった。ジャマイカのシンボル、ボブ・マーリーが海外を拠点に公演を行っていたのもこの頃のことだ。ドレッドヘアーに菜食主義を貫き、西欧主導の政治権力に対抗したラスタファリアンのメッセージはボブ・マーリーをフラッグシップに、ジャマイカの首都キングストンのミュージシャンたちによって盛んに歌われていた。本作はそんなレゲエ・ミュージシャンの日常を等身大に描いたものだ。

監督はセオドロス・バファルコスというギリシア人の写真家で、1975年にフリーカメラマンとしてジャマイカの音楽シーンを撮影したのをきっかけにキングストンに移り住み、2年以上をレゲエ・ミュージシャンたちとの交流に費やした。つまり、映画を撮る準備をした。当時ビッグスターだったボブ・マーリーには敢えて声をかけず、ゲットーのトレンチタウンで生活するミュージシャンたちを出演させ、本人の役をやるという設定で映画は撮られた。本作で主人公を務めるリロイ・ホースマウス・ウォレスも、実際にキングストンで活躍するドラマーである。本人が本人の役で出演するわけだから、彼らの暮らしや音楽事情が素の状態で垣間みられて面白い。

細身のスーツを着てポークパイハットをかぶった“ルード・ボーイ”ファッション。簡素なスタジオで録音され、まるで生鮮食品のようにすぐにレコードにプレスされ、人の手で売られていく音楽。路上にはサウンド・システムが持ち込まれ、パーティーが行なわれる。今や世界中に広がったストリートカルチャーの原点を見る思いがする。

そして、彼らはタバコのように大麻を吸う。挨拶がわりに、気を鎮めたいときに、常にモクモクしているのである。ラスタファリズムにおいて大麻、つまりガンジャは、ガン=草、ジャー=神すなわち「神の草」を意味し、おもに瞑想や心を穏やかにするといった精神性の維持のために用いられたという。もちろん、ジャマイカで大麻は非合法であるから、そこには反抗の意味も込められていたわけである。

ところで、ジャマイカの山岳部や丘陵地帯にはかつてスペイン領だった頃から、プランテーションから脱走した逃亡奴隷が造り上げた“マルーン”と呼ばれるコミュニティが点在する。逃亡奴隷は指導者のもと自給自足の生活を送り、傷ついた人々を薬草を用いて癒し、アフリカ伝来の楽器を使った儀式によって独自の文化を守っていた。そして、ゲリラ部隊を組織し、白人支配に対抗した。マルーンの活動は、1834年の奴隷制度廃止へと結びつくのである。

一方、ラスタファリズムは、ジャマイカ人のジャーナリスト、マーカス・ガーベイのアフリカ回帰運動に端を発する。しかしラスタの教義が成立した背景には、ラスタファリアンがマルーン同様、イギリス政府の弾圧を逃れるために山に籠り、コミューンを作り、ガンジャを使った儀式を行うことで信仰をさらに確立したという経緯がある。そのことを裏付けるように、本作には山間に住むラスタファリアンの老人が出てくる。その老人は、傷を負った主人公に、やはり薬草を煎じて飲ませるのである。

ラスタファリズムをカルト宗教と呼ぶひともいるが、ジャマイカに連れて来られた人々が長い植民地時代から解放され、自分たちのアイデンティティを取り戻すためにはそのような強い指針が必要だった。そしてラスタの強いメッセージがあったからこそ、カリブ海に浮かぶ小さな島が発信したレゲエミュージックは世界にインパクトを持って受け入れられたのだ。それこそ何百年にも渡る反抗と抵抗の歴史で培われた思いの強さの賜物ではないか? 『ロッカーズ』を見ているとそんな気にもなってくるのである。

Text by 草刈朋子




監督:テッド・バファルコス
製作:パトリック・ホージィ
脚本:テッド・バファルコス
撮影:ピーター・ソーヴァ
音楽:ナイジェル・ノーブル

出演:
リロイ・ホースマウス・ウォレス、リチャード・ダーティー・ハリー・ホール、マージョリー・サンシャイン・ノーマン、ジェイコブ・ミラー、グレゴリー・アイザックス、ウィンストン・ロドニー、アシュレー・ハイヤー・ハリス、ジャック・ルビー、キダス・I、ロビー・シェイクスピア、ビッグ・ユース、アビシニアンズ、ディリンジャー、マイティ・ダイアモンズ、ジョー・ギブス、アール・チナ・スミス

サウンドトラック:
"Satta Amasagana" by The Abyssinians with Ras Michael and The Sons of Negus
"Jah Lion" by Lee Perry and The Upsetters
"Graduation in Zion" by Frank Dowding (as Kiddus-I)
"Book of Rules" by The Heptones
"Money Worries" by The Maytones
"Stumbling Block" by Dillinger
"We A' Rockers" by Jacob Miller and The Inner Circle
"Midnite Rock" by Big Joe - Jah Thomas
"Police and Thieves" by Junior Murvin
"Jah No Dread" by Burning Spear
"Tenement Yard" by Jacob Miller and The Inner Circle
"Sweet Sensation" by The Melodians
"Water Is Power" by Mount Salem A.E.M. Zion Church
"Satta Amasagana" by Third World
"Fade Away" by Junior Byles
"Get On Up (Get On Down)" by Roundtree
"Rockers" by Bunny Wailer
"Slave Master" by Gregory Isaacs
"Stepping Razor" by Peter Tosh
"Treasure Dub" by Joe Gibbs and The Professionals
"Natty Takeover" by Justin Hines and The Dominoes

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