パッション パンフレット
ゴダール通も納得の人選で映画『パッション』を読み解こう みんなヌーヴェル・ヴァーグを通過してきた。
シネフィル好みの無修正版パンフレット!
『パッション』は、ジャン=リュック・ゴダールの商業映画復活2作目。「商業映画」とは言っても、一筋縄ではいかないゴダールのこと。DVDを見たあとには、頭の整理をするために副読本が欲しくなる。そんなときのために、公開時の映画パンフレットをどうぞ。
解説陣は、ゴダールもニンマリしそうな正統派のシブい人選だ。
まず、最初に筆をふるうのは映画監督の諏訪敦彦。諏訪は映画『M/OTHER』で1999年のカンヌ国際映画祭国際批評家連盟賞を受賞し、2006年にはフランスのオムニバス映画『パリ、ジュテーム』に参加するほどヨーロッパやフランス国内から圧倒的な評価を得ている監督だ。一方、美術方面からは、「新日曜美術館」など多くの美術番組を担当するNHKの名物プロデューサー、丸山俊一が寄稿。音楽面では、現代音楽家であり映画音楽を多数手がける鈴木治行の緻密な考察があり、トリはこのパンフレットを編集した筒井武文の文章で締めくくられている。
ちなみに、筒井武文は、東京藝大の映像研究科の助教授で、実は諏訪敦彦の大学時代の映画仲間。あるWEBサイトに諏訪のインタビューが掲載されていて、筒井武文の仏映画狂ぶりについて話している記事が面白かったので、引用する。
「今、芸大や映画美学校で教えている筒井武文さんは、僕の東京造形大学の同級生で、毎週大学に日仏からフィルムを持ってきて、自主的な上映会を開いていた。これは重要な映画だといって、字幕もないのに、学生だけで見ていた。(中略)このプリントはもうフランスに帰っちゃうからといって、筒井さんは持ってくるんですよ」
(ホームシアターファイル「日仏監督インタビュー/ 日本編」より)
(http://www.phileweb.com/news/d-av/200801/03/20056.html)
ああ、ここにもパッションが……。ヌーヴェル・ヴァーグを通過してきた男たちの秘めたる熱い思いを映画の副読本として読むべし。