ブコウスキー オールド・パンク ポスター
“酔いどれ詩人”チャールズ・ブコウスキーの生き様を感じよう。 「酔って書いてやりまくる」
無頼派の元祖を部屋に貼ろう!
無頼派の元祖を部屋に貼ろう!
ざらざらとした粒子の荒い写真に浮かび上がる作家チャールズ・ブコウスキーの顔。“酔いどれ詩人”と呼ばれるブコウスキーの顔には少年時代、父親に受けた折檻によってできた痘痕(あばた)が見られる。
映画の冒頭でも引用されている「酔って書いてやりまくれ」とはブコウスキー自身の言葉で、彼が無頼派と呼ばれるゆえんでもある。しかし、映画はブコウスキー自身が青年期には「不細工」さに悩み、そのために卒業パーティーにも出たことがなく、コンプレックスに裏打ちされたアウトローとしての人生を送り、強さだけではなく弱さも充分に備えた人間だったことを、映し出す。
一方、作家としてのブコウスキーは事実を誇張することを嫌ったとも伝える。風景描写を嫌い、むき出しの率直な言葉で事実のみを書き、決まり事や規則に満ちた安全で保守的な世界をゆさぶったのだ。
外見がものを言う思春期にざらざらとした顔の皮膚になったが故に「孤独」の境地を獲得したブコウスキー。その原因を作った父親を、自分の表現を育てた「文学の教師」だと言ってのける心の境地こそが、彼の文学の源。
そんなブコウスキーという人間を伝えるとき、このポスターの写真のようなざらっとした質感がよく似合う。1960年代末に登場し、彼の詩を掲載したアンダーグラウンドの雑誌や新聞もまた、ざらざらした安っぽい紙に印刷されて独特の世界観を構築し、アメリカン・サブカルチャーの原点となった。
ざらざらの本流を行くブコウスキーの生き様を感じるこのポスター。厳しい環境を生ききった人生の師匠の姿に磨かれたい男心、女心は、必ずあるはずだ。
text by 草刈朋子