ブラジル映画祭 パンフレット

ブラジル映画の原点である60年代シネマ・ノーヴォから80年代中期作品のレジュメとして    グーグルで「ブラジル映画祭」と検索すると、2005年より毎年秋に行なわれている同名のイベントがヒットするが、こちらはその19年前の1986年に配給会社ケイブルホーグによってブラジル映画の名作が特集上映されたときのパンフレット。流浪の絵本作家、スズキコージのカーニヴァル気分漂うイラストレーションを表紙にしたレアな逸品だ。

1960年代から1980年代半ばにかけてのブラジル作品を扱っており、プログラムの冒頭には、現在東京芸大の映像研究科の教授を務める出口丈人によるブラジル映画小史が書かれている。

出口の文章によると、ブラジルでは1913年という早い時期から映画が作られていたが、1950年頃までは上映される映画のほとんどがアメリカ映画であり、国内製作の映画は10本以内という苦しい時代が続いていたという。しかし1960年代に入ると、フランスのヌーヴェル・ヴァーグに呼応するようにグラウベル・ホーシャを筆頭にした“シネマ・ノーヴォ”と呼ばれる映画ムーブメントが起こる。

シネマ・ノーヴォの特徴とは、「低予算、ロケ、素人の出演者、作家主義という要素に、反米、反上流階級のイデオロギーを加えて、政治的色彩や荒々しいフォークロア的世界に彩られた力強い表現の作品」。ブラジル社会が抱える問題に対するダイレクトな表現が模索されたという。シネマ・ノーヴォはブラジル国内の政情や経済に左右されながら3度に渡って興隆と衰退をくり返し、1972年に終焉。その後はアルナウド・ジャボールやルイ・ゲーハに見られる娯楽性と作家性そそなえた商業映画が作られるようになり、1980年代に入ってアルゼンチン出身の監督でブラジル国籍を取得したエクトール・バベンコ監督『蜘蛛女のキス』(84年)が世界的ヒットとなったほか、カルロス・アウベルト・プラテス・コーヘイア監督『セルタンの夜』(84年)なども国際市場で評判となったという。1985年には検閲が緩和され、同年の統計で年間101本もの映画が製作されたそうだ。しかし、そのほとんどがポルノ・ムービーであることに出口は苦言を呈し、原稿を締めている。

ちなみに、85年以降のブラジル映画の名作には、多くの国際賞をとった ヴァルテル・サレス監督『セントラル・ステーション』(98年)やカルロス・ヂエギス監督『オルフェ』(99年)、ブラジルの貧民街“ファベーラ”の問題を描き世界から注目を集めたフェルナンド・メイレレス監督『シティ・オブ・ゴッド』(02年)がある。また、ブラジル製作ではないが、ヴァルテル・サレスは若き日のチェ・ゲバラを描いた『モーターサイクル・ダイアリーズ』(04年)を監督。映画プロデューサーとしてもブラジル映画の牽引役として活躍している。         この1986年の「ブラジル映画祭」のパンフレットには、今日国際的な評価を得るまでに成長したブラジル映画の、基盤となった以下の10作品が紹介されている。

ジャン・リュック・ゴダールが“もっとも新しい映画監督のひとり”と絶賛したシネマ・ノーヴォの鬼才、グラウベル・ホーシャの『アントニオ・ダス・モルテス』(69年)、『黒い神と白い悪魔』(64年)。シネマ・ノーヴォの継承者、アルナウド・ジャボール監督による『禁じられた裸婦』(73年/ベルリン国際映画祭銀熊賞受賞)と『終わりよければ』(78年)。ラテンアメリカ文学の巨匠、ガルシア・マルケス原作の『エレンディラ』(83年)でも知られるルイ・ゲーハ監督の『転落』(76年)。世界的大ヒット作『蜘蛛女のキス』(84)のエクトール・バベンコ監督『傷だらけの生涯』(77年)。ほか、レジナルド・ファリア監督『バラ・ペサーダ』(77年)、レオン・ヒズマン監督『ブラック・タイ』(81年)、ゲハウド・モラエス監督『危険な旅』(83年)、カルロス・アウベルト・プラテス・コーヘイア監督『セルタンの夜』(84年)である。

本パンフレットをたよりに、ブラジルの大地が生み出した混沌としたカオスにぜひ浸っていただきたい。             アントニオ・ダス・モルテス
原題:Antonio Das Mortes
製作国:ブラジル
製作年:1969年
公開年月日:1970/10/24
製作会社:クロード・アントワーヌ・フィルム
カラー/スタンダード
監督/脚本/美術:グラウベル・ホーシャ
撮影:アフォンソ・ベアート
音楽:マウオス・ノブレ
編集:エドゥアルド・エスコレル
出演:マウリシオ・ド・バーレ(Antonio das Mortes)オデッテ・ララ(Laura)オトン・バストス(Plofesseur)ウーゴ・カルバーナ(Police)ホフレ・ソアレス(Colonel)ローザ・マリア・ペンナ(Sainte)
受賞歴:
1969年度カンヌ映画祭監督賞、ルイス・ブニュエル賞受賞

黒い神と白い悪魔
英題:The Black God And The White Devil
原題:Deus e o diabo na terra do sol
製作国:ブラジル
製作年:1964年
公開年月日:1985/11/16
製作会社:コパカバーナ・フィルムス
配給:ケイブルホーグ
モノクロ/スタンダード
監督/脚本:グラウベル・ホーシャ
製作:ルイース・アウグーストウ・メンデス、グラウベル・ホーシャ、ハーバス・バルボウサー
撮影:ヴァルデマール・リマ
美術:パウロ・ジル・ソアレス
音楽:ビラ・ロボス、J・S・バッハ
出演:ジェラルド・デル・レイ(マヌエロ)イオナー・マガリェイイーンス(ローサー)アントウニオウ・ピントウ(ムーライス)リーディオウ・シルヴァ(シバスティアン)マウリシオ・ド・バーレ(アントニオ)オートン・バーストゥース(コリスコウ)、他モンテ・サントの住人たち
受賞歴:
1964年度ポレッタ・テルメ自由映画祭最優秀作品賞
1966年度サンフランシスコ映画祭大賞受賞

禁じられた裸婦/ヌードは御法度
英題:All Nudity Shall Be Punished
原題:Toda Nudez Sera Castigada
製作国:ブラジル
製作年:1973年
製作会社:イパネマ・フィルムス
監督:アルナウド・ジャボール
脚本:アルナウド・ジャボール、ネルソン・ロドリゲス
音楽:アストール・ピアソラ、カール・オーフ
撮影:ラウロ・エスコレル
編集:ラファエル・ヴァルヴェルデ
出演:Paulo Porto / Darlene Gloria / Elza Gomes / Paulo Cesar Pereio / Isabel Ribeiro / Henriqueta Brieba / Se'rgio Mamberti / Orazir Pereira / Abel Pera / Waldir Onofre / Teresa Mitota / Paulo Sacks / Hugo Carvana

終わりよければ
英題:Everything's Alright
原題:Tudo Bem
製作国:ブラジル
製作年:1978年
製作会社:アルナウド・ジャボール・プロダクション、エンブラフィルム
監督:アルナウド・ジャボール
脚本:アルナウド・ジャボール、レオポルド・セラン
撮影:ディブ・ルトゥフィ
編集:ジルベルト・サンテイロ
出演:Fernanda Montenegro / Paulo Gracindo / Maria Silvia / Zeze Motta / Stenio Garcia / Jose Dumont / Anselmo Vasconcelos / Regina Case / Luiz Fernando Guimara~es / Fernando Torres / Luiz Linhares / Jorge Loredo / Paulo Cesar Pereio

転落
原題:A Queda
製作国:ブラジル
製作年:1976年
製作会社:ネルソン・ザビエル・プロダクション
監督/脚本:ルイ・ゲーハ、ネルソン・ザビエール
音楽:ルイ・ゲーハ、ミルトン・ナシメント
撮影:エドガー・モウラ
編集:ルイ・ゲーハ
出演:Carlos Alberto Baia / Leonidas Bayer / Hugo Carvana / Murilo de Lima / Jurandir de Oliveira / Ginaldo de Souza / Ivan De Souza / Luiz Antonio de Souza / Cosme dos Santos / Lima Duarte

傷だらけの生涯
原題:Lucio Flavio, o Passageiro da Agonia
製作国:プラジル
製作年:1977年
製作会社:エンブラフィルム
監督:エクトール・バベンコ
脚本:エクトール・バベンコ、ホルヘ・デュラン、ホセ・ルーゼイロ
音楽:ジョン・ネッシュリング
撮影:ラウロ・エスコレル
編集:シルヴィオ・ヘノルディ
出演:Reginaldo Faria / Ana Maria Magalhaes / Milton Goncalves / Paulo Cesar Pereio / Ivan Candido / Lady Francisco / Grande Otelo / Stepan Nercessian / Erico Vidal

バラ・ペサーダ
英題:Heavy Trouble
原題:Barra Pesada
製作国:ブラジル
製作年:1977年
監督/脚本:レジナルド・ファリア
原作:Plinio Marcos「Nas Quebras da Vida」
音楽:エドゥ・ロボ
撮影:フェルナンド・デュアルテ、ホセ・メデイロス
編集:ワルデマール・ノヤ
出演:Stepan Nercessian / Cosme dos Santos / Katia DAngelo / Milton Moraes / Itala Nandi / Elza Gomes / Ivan Candido / Rui Resende / Haroldo de Oliveira / Lutero Luiz / Milton Vilar / Mario Petraglia

ブラック・タイ
英題:They Don't Wear Black Tie
原題:Eles Nao Usam Black-Tie
製作国:ブラジル
製作年:1981年
製作会社:エンブラフィルム
監督:レオン・ヒズマン
脚本:レオン・ヒズマン、ジャンニフランチェスコ・グァリエリ
音楽:アドニラン・バルボサ、チコ・ブゥアルケ、ジャンニフランチェスコ・グァリエリ
撮影:ラウロ・エスコレル
編集:エドゥアルド・エスコレル
衣装デザイン:ユリカ・ヤマザキ
出演:Gianfrancesco Guarnieri / Fernanda Montenegro / Carlos Alberto Riccelli / Bete Mendes / Lelia Abramo / Milton Goncalves / Rafael de Carvalho

危険な旅
原題:A Dificil Viagem
製作国:ブラジル
製作年:1983年
製作会社:A&Bプロダクション
サイズ/カラー:35ミリ/カラー
上映時間:85分
監督/脚本:ゲハウド・モラエス
撮影:ヴァルター・カルバーホ
編集:ヴァルター・グーラート
出演:Joselita Alvarenga / Joao Antonio / Roberto Bonfim / Jose de Arimatheia / Beatriz de Castro / Francisco Di Franco / Paulo Jose / Simon Khoury / Mallu Moraes / Ary Pararraios

セルタンの夜
原題:Noites do Sertao
製作国:ブラジル
製作年:1984年
製作会社:シネフィルムス
監督/脚本:カルロス・アウベルト・プラテス・コーヘイア
原作:Joao Guimaraes Rosa「Buriti」
音楽:タヴィーニョ・モウラ
撮影:ホセ・タデュー・ヒベイロ
出演:Cristina Ache / Maria Alves / Sura Berditchevsky / Debora Bloch / Alvaro Freire / Antonio Grassi / Carlos Kroeber / Hileana Menezes / Milton Nascimento / Paulao / Ruy Polanah / Tony Ramos

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