フリークス パンフレット

映画史上もっともスキャンダラスな作品、トッド・ブラウニングの『フリークス』の衝撃と真実 「ここにいるのはまさに生身の怪物たち。そのすがたに笑い、身震いするでしょうが、一つ間違えば皆様もこうなるところでした」

仰々しい見世物小屋の呼び込みの口上ではじまるトッド・ブラウニングの『フリークス』。

大 恐慌のさなか、全米の見世物小屋やサーカスの花形スターを集めて撮られたこの映画は、カルト・ムービーの原点と言われ、1932年の公開時には「その衝撃 的な内容に全米各州で即刻上映禁止。当時のNYタイムズは〈これは人間に見せるべき映画ではない〉と断じ世界中に一大センセーションを巻き起こした」そう だ。

何が衝撃だったのか? それは本作が、フリークと呼ばれているひとたち——ミゼット(小人)や結合双生児、下半身のない“半分人間”、半男半女、髭女など——側から撮られた映画だからである。

本 作は、ミゼットのハンスとブランコ乗りの美女、クレオパトラの偽装殺人計画を軸とし、サーカスで働く人々の人間模様を描いている。話の筋としては、ハンス を暗殺し、遺産を自分のものにしようとするクレオパトラが、逆に異形のものたちから阻まれ報復を受けるという、教訓めいた勧善懲悪話なのだが、善として描 かれるのはフリークであり、欲に駆られた美女は悪として刑罰の対象となるのだ。

トッド・ブラウニングは、本作でとてもフリークをノーマル に描いている。手足のない胴体男は口だけで悠然と葉巻に火をつけてくゆらし、まったくハンディキャップを感じさせないし、結合双生児の姉妹はそれぞれ別の 男と自由に恋愛をしている。髭女に赤ん坊が生まれるとみんなで祝い、ハンスが殺されそうになると、結束して仕返しをする。見世物小屋の日常を通して、ベー ルに隠されてきた彼らの人間性に触れる思いがする。見世物とは、フリークの生活手段であり、少なくともこの映画が作られた20世紀の前半頃までは、そのよ うな人々は世界各地のカーニヴァルや縁日のような場所で巡業をしていたことがわかるのである。

本作のデジタルリマスター版上映時のパンフ レットによると、監督のトッド・ブラウニングは映画を撮り始めるようになる前はサーカスで働いていた経験を持つという。解説にはこのように書かれている。 「撮影は困難をきわめた。集められたフリークたちは、みな自前の小屋を持つ、一座の花形ばかりである。そのプライドとエゴの張り合いにはすさまじいものが あったという。スタッフ、キャスト全員が辟易する中で、ブラウニング一人はくつろいでいた。まるで故郷に帰ったかのように、ごく自然にフリークに混ざって 楽しんでいたという」

アメリカの批評家、レスリー・フィードラーが映画『フリークス』のオマージュとして書き上げた『フリークス?秘めら れた自己の神話とイメージ』(青土社)には、公開当時この映画が道徳的なことを尊ぶPTAや諸団体、出演した何人かからも抗議を受けたと書かれている。科 学技術の発展が人々に全能感漂う未来をもたらそうとしていた時代にあっては、多くの人々の見たくない現実がそこに写されていたのだろう。時代が変わったこ とを悟ったブラウニングは、第二次世界大戦が勃発した1939年に撮った映画を最後に引退し、二度と映画を作ることはなかったそうだ。

同 書によると、「フリーク」とは「自然のいたずら(freak of nature)」の省略された形であるそうだ。それ以前はおもに「怪物(monster)」という、神の産物を意味するような言葉で表されたと書かれてい る。古代ヨーロッパで奇形の子どもが生まれた場合は、それが何かの前兆であるようにとらえられ、人々に恐怖や畏怖を喚起させたという。一方、ミゼットが王 侯貴族の愛玩を受けた時代もあったという。近代には見世物小屋で人々を笑わせるエンターテイナーの活路もあったが、では現代においてはどうなのだろうか。

日 本では2005年に解散した全日本女子プロレスとセットで「小人プロレス」(ミゼットプロレス)の興行が行なわれていた。大変コミカルで笑いに満ちた人気 の試合だったそうだが、テレビで放送されることはやはりほとんどなかったという。『笑撃!これが小人プロレスだ』(現代書館)の著者であるルポライターの 高部雨市は、日刊『サイゾー』のインタビューでこのように語っている。「日本のテレビの中では自主規制というんですか、そういうことをやり続けていた。 〈8時だョ!全員集合〉(TBS)でも、小人が登場する回はあったものの、投書が来たらそれで終わりです。〈どうしてああいう人を出すんだ〉〈ああいう人 を笑い者にするんじゃない〉って。小さな芸人の白木みのるさんが言っていたんですが、逆に言うと、そういう人たちこそが小人を見たくないんです。〈かわい そうだから〉っていう方便を使って、まさに〈見せかけのヒューマニズム〉ですね」

映画『フリークス』が再びスクリーン上に姿を現したの は、公開禁止から30年ほど経った1960年代のアメリカだった。フィードラーの先の著書の翻訳を手がけた評論家の伊藤俊治は本パンフレットのなかで、本 作が「カウンター・カルチャーのバイブルとしてもてはやされ、ミッドナイト・ムービーやカルト・ムービーのブームの火付け役」となったと書いている。伊藤 俊治はさらにこのように書いている。「これらの映画にくり返しあらわれる不具者や奇形者や怪物に、我々は人間の身体や精神に残された“最後の辺境”を見て いるのだろう」

今、この生活圏で「フリークス」に出会える確立は大変少ないかもしれないが、フリーク的なものはイメージとして世の中にあ ふれている。それは、コミックで描かれる過剰にデフォルメされた表現やテレビで流れる大食いをはじめとするさまざまな芸のなかに、あるいはポルノのなか に、何か直視しにくいものは細分化されているように思う。しかし、真にフリークのオーラを感じたいなら、トッド・ブラウニングの『フリークス』を見るしか ない。


フリークス/怪物団
原題:Freaks
製作国:アメリカ
製作年:1932年
製作会社:M・G・M映画
配給:MGM支社/ケイブルホーグ
監督:トッド・ブラウニング
脚色:ウィリス・ゴールドベック、レオン・ゴードン
原作:トッド・ロビン
台詞:エドガー・アレン・ウルフ、アル・ボースバーグ
撮影:メリット・B・ガースタッド

出 演:ウォーレス・フォード(Phroso)、リーラ・ハイアムス(Venus)、オルガ・バクラノヴァ(Cleppatra)、ロスコー・エイツ (Roscoe)、ヘンリー・ヴィクター(Aercules)、ハリー・アールス(Hans)、デイジー・アールス(Frieda)、ローズ・ディオン (Madame_Tetrallini)、Daisy and Violet Hilton(Siamese_Twins)、エドワード・ブロフィー(Rollo_Brothers)、マット・マク ヒュー(Rollo_Brothers) サイズ:A4(210×298)
ページ数:8P
色数:表紙2色、本文モノクロ
紙質:マット紙系統
ウェイト:約70k

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