地球に落ちてきた男 / パフォーマンス ポスター
デヴィッド・ボウイとミック・ジャガーが夢の共演を遂げた記念すべき一枚 気になるのは撮影当時のデヴィッド・ボウイとミック・ジャガー2人の境遇だ。ボウイの1976年公開の『地球に落ちてきた男』は、前年に発表した『ヤング・アメリカン』で、これまでのグラム・ロックを路線からソウル・テイストに方向転換し、ファンを戸惑わせたがアメリカで人気爆発。ジョン・レノンがゲスト参加した「フェーム」は全米1位に。アメリカに移住し、ソウル・シンガーへ転身を図る。その後、マネージメントとの利権争いに憔悴し、カバラ思想やクロウリーの著書など西洋魔術の神秘に憑かれ、この映画の撮影のためにロサンゼルスからニューメキシコへ飛ぶ。撮影を終え、再びロスへ戻った75年8月に10枚目のアルバムのレコーディングが開始され、発表された『ステイション・トゥ・ステイション』は全米3位を記録した。
一方、ミックの『パフォーマンス』は1968年に製作された。前年『サタニック・マジェスティーズ』を発表し賛否両論に。68年にジミー・ミラーをプロデューサーに迎えた『ベガーズ・バンケット』を発表。同年ゴダールが監督を務め、ストーンズのレコーディング風景を収めたドキュメンタリー映画『ワン・プラス・ワン』が製作・公開される。またジョン・レノン、エリック・クラプトン、ザ・フーなどが出演した幻のテレビ番組『ロックンロール・サーカス』を収録。その後、69年にブライアン・ジョーンズが脱退する。ミック・ジャガーとブライアン・ジョーンズの恋人アニタ・パレンバーグが共演していることも話題だ。
と、アーティストとしての転換期に2人とも俳優に挑戦しているのが興味深い。
監督は共にニコラス・ローグ。『パフォーマンス』がデビュー作になる。映画製作時の2人の年齢は、47年生まれのデヴィッド・ボウイが29歳、43年生まれのミック・ジャガーが25歳。ポスターの両者の堂々たる風格!!
99年に日本で再上映時に製作されたこのポスター。大物2人のライブを同時に観ているような、高揚感にどっぷり浸ってみよう。
text by 小池_弘 サイズ:H730/W515
紙質:マットコート紙/約135k
CONDITION: DEAD STOCK