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DANCE WITH COCONUTS / senor coconut CD
¥2,530
テクノでラテン!? 超高速ラテン・デジタル・ブレイクビーツに酔う幻のデビュー作。 アトム・ハートの名でも知られる天才エレクトロ職人、ウーヴェ・シュミットによるプロジェクト、セニョール・ココナッツ。これまでにクラフトワークからマイケル・ジャクソン、シャーデー、YMOまであっと驚く極上のラテン・カバーセンスで一躍有名になった彼の幻のファースト・アルバムが、日本限定発売。 フランクフルトをベースに活動をスタートした彼が、97年頃からドイツを離れチリの首都サンチャゴに移住。その頃から彼の愛するラテン音楽に影響をうけた“エレクトロニック・ラテン・バンド”セニョール・ココナッツ”としての活動を開始させ、ラテンの要素を“カット・アンド・ペースト”してプログラムするという新しいスタイルを作り出した。 熱でうなされているときに浮かんだというネーミングのエピソードやレコーディング秘話が語られる貴重なライナー・ノーツは、セニョール・ココナッツを知る上で、ぜひとも一読しておきたい。 text by 小池_弘
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El Baile Alem(Plays Kraftwerk) / senor coconut CD
¥2,530
ラテンとテクノの完璧な融合で、クラフトワークが踊りだすこれぞ、まさしくカバーの醍醐味 天才エレクトロ職人、ウーヴェ・シュミットがセニョール・ココナッツ名義で発表したセカンド・アルバム。前作で確立されたラテン・ブレイクビーツの方法論を使って、ドイツが生んだテクノの神さま、クラフトワークの名曲をルンバ、チャチャ、メレンゲでカバーした。これが実に気持ちよい。 精密にかつ緩やかにプログラミングされたラテン・ビートに乗り、聞きなれたクラフトワークのテクノ・サウンドが大変貌を遂げる。本人の解説によれば、クラフトワークのレコードは1枚も持っておらず、熱心なクラフトワークファンではなかったそうだ。それでいながら、この完成度の高さ! 恐るべし、セニョール・ココナッツ・・・。 text by 小池_弘
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Yellow Fever(Plays YMO) / senor coconut CD 初回限定盤
¥2,948
SOLD OUT
YMOの名曲が仰天ラテン・テイストに!細野晴臣・高橋幸宏・坂本龍一が奇跡のゲスト参加! エレクトロ出身のセニョール・ココナッツが次のターゲットに選んだのはナント、YMO!! 自身が大ファンと公言しているだけに、これがクセになるほどの絶妙な仕上がりになった。YMOという食材をマンボ、チャチャ、メレンゲで味付けし、さらに高速ラテン・デジタル・ブレイクビーツのトッピング。その結果サンプリングでありながら、どこか生音に近い温かみのある音が、本作の最大の魅力だ。 とりわけオリジナル・メンバー3人が参加した「東風」、「リンボ」、「マッドメン」は必聴だ。本人たちも楽しみながらレコーディングしたであろう雰囲気が伝わる究極のYMOカバー。さらに耳慣れた「ライディーン」の新鮮な気持ちよさといったらない。まさにカバー・アルバムの金字塔というべき一枚だ。
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Yellow Fever(Plays YMO) / senor coconut CD 日本特別盤
¥2,703
YMOの名曲が仰天ラテン・テイストに!細野晴臣・高橋幸宏・坂本龍一が奇跡のゲスト参加! エレクトロ出身のセニョール・ココナッツが次のターゲットに選んだのがナントYMO!! 自身が大ファンと公言しているだけあり、YMOファンの心配をよそに、あらあら不思議!? これがクセになるほどの絶妙な仕上がりに。YMOという食材をマンボ、チャチャ、メレンゲで味付けし、さらに高速ラテン・デジタル・ブレイクビーツのトッピングが施され、サンプリングでありながら、どこか温かな音なのが最大の魅力だ。とりわけオリジナル・メンバー3人が参加する「東風」、「リンボ」、「マッドメン」は、必聴だ。本人たちも楽しみながらレコーディングしたであろう雰囲気が伝わる極上カバーだ。さらに「ライディーン」の気持ちよさといったらない。まさにカバー・アルバムの金字塔となる贅沢なゲストの一枚。 3曲収録されたボーナストラックは初回限定盤とはダブリなしなので、コアなファンは要チェックだ。ジャケットと同じ謎の東洋人の顔を持つラテンガールの日本盤独自ポスター(360×240)を封入。YMOのメイン・エンジニアで現在もSketch Showなどを手掛ける小池光夫氏による独自のマスタリング。参加ゲストはYMOオリジナル・メンバーのほかに、テイ・トウワ、アクフェン、マウス・オン・マーズ、マリナ(ヌーヴェル・ヴァーグ)、バーント・フリードマン、シュナイダーTM、ダンディー・ジャック、リサ・カーボンほか。ライターの小暮秀夫氏によるライナー・ノーツが付く。 text by 小池_弘
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AROUND THE WORLD / senor coconut CD
¥2,598
ダフト・パンクやプリンス、ユーリズミックスも驚きのラテン・カバーで世界一周旅行へ! セニョール・ココナッツとしては5枚目のアルバム。今作はアメリカ、イギリス、フランス、キューバ、チリ、ブラジル、ドイツ、スイス、デンマーク、ベルギー、日本とさまざまな国の名曲を、次々とお得意のラテン・フレーバーに。80年代に大ヒットしたユーリズミックスの「スウィート・ドリームス」やプリンスの「キッス」の雰囲気満点カバーは、懐かしさを越えて思わずニヤリとさせられる。ラテン・ミュージックの楽しさと原曲のよさを再発見できる喜びがあり、元ネタを探すというもうひとつの楽しみを与えてくれるカバー・アルバムだ。
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Interstellar Overdrive / atom™&Station Rose CD
¥2,200
SOLD OUT
プログレの重鎮ピンク・フロイドの名曲をテクノとダブで再構築した斬新な意欲作。 アトム・ハートとして発表された本作では、ピンク・フロイドの「星影のドライヴ」をテクノとダブでカバーしている。熱心なリスナーはすでにおわかりだと思うが、アトム・ハートというネーミングがピンク・フロイドの『原子心母』から取られていることはよく知られるところ。 「星影のドライヴ」はファースト・アルバム「夜明けの口笛」に収録された印象的なリフを持った曲で、プログレファンにとっては有名な曲だ。今作でアトム・ハートはオーストリアで活躍するマルチメディア・アートの先駆者であるステーション・ローズと手を組み、完全なテクノとダブによる再構築を試みている。プログレとテクノにダブのエッセンスを加えるあたりが、アトム・ハートのアーティストとしての底知れない奥深さが伝わる作品。
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Chill Out / DJ YOGURT & KOYAS CD
¥2,409
KLF『Chill Out』のもう一つの解釈。アンビエントの新たな金字塔となる極上のチル・アウト 1990年にThe KLF発表した『Chill Out』はエルヴィス・プレスリーらの楽曲が無断で使用されるなどしていたが、その他にもフィールド・レコーディングされた自然音、羊や鳥の鳴き声、機関車の汽笛や走行音などが、見事にコラージュされることによって、美しく壮大な世界を創り出し、結果この作品は、アンビエント・ミュージックの傑作として音楽史上語り継がれる作品となった。 しかし、『Chill Out』は権利関係の問題が理由で、今では廃盤となり入手する事が困難となっている。レコードショップのバイヤーとして膨大な音楽経験と知識を蓄え、またDJとしても活躍するDJヨーグルトとコヤスが、果敢にもこの名作の復活に挑んだ。 『Chill Out』発売20周年記念を祝し、このアルバムにインスピレーションを受けて制作されたラウンジやダブが楽しめる内容になっている。温かな愛情によって生まれた本作は、風のそよぐ気持ちのよい草原で聞いてみたい爽快なラウンジ・ミュージックだ。
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Saltykisses / Guitar CD
¥2,777
SOLD OUT
初の日本語曲「Be Joy」を収録したエレクトロ・シューゲイザーユニットのサード・アルバム ギターはドイツ、ケルンを拠点に活動するデジタル・ジョッキー(マイケル)のプロジェクト。 マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの永遠の名盤「LOVELESS」を聞いてきた世代には、90年代の香りが心地よいシューゲイザーサウンド。轟音ノイズギターに包まれたウィスパーボイスとループするドリーミィーなメロディ。彼等の3枚目のアルバムは、繊細で傷つきやすい僕らの応援歌だ。
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The Occurrence / JEFF MILLS CD
¥3,017
テクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズのアフロ・フューチャリズム的ストーリー・ミックスジェフ・ミルズは、モータウンの聖地であるデトロイトに生まれ育った。高校卒業後からザ・ウィザード名義でラジオDJとして、ヒップホップとディスコとニューウェイブを中心にミックスするスタイルを確立し、1989年にはマッド・マイクとともにUR(アンダーグラウンド・レジスタンス)を結成。脱退後はハードなミニマル・テクノを展開し、日本をはじめ世界中のダンスフロアを沸かしてきた。 そんなジェフ・ミルズが、宇宙をテーマに活動をはじめたのが、2005年のアルバム『Contact special』。以来、2006年には彼自身が宇宙に旅立つという設定のアルバム『One man Spaceship』を出し、その後2009年12月に宇宙からの帰還をテーマに『Sleeper Wakes』をリリース。そして、同年の3月に、すべてジェフ・ミルズ自身の曲によって構成されたストーリー・ミックスによるアルバム『The Occurrence』を発表した。そのスリーブには、「この1時間4分44秒にわたるMix Reportは、宇宙遊泳中にジェフ・ミルズが体験したアクシデントの記録である。」と書かれている。 なぜジェフ・ミルズは宇宙にこだわるのか。 それは、彼がデトロイト出身の黒人のミュージシャンであるということに関わっているのかもしれない。一連のシリーズが、アメリカのブラック・ミュージックに受け継がれる“ブラック・サイエンスフィクション”や“アフロ・フューチャリズム”の延長線上にあるのだとしたら、納得できるシナリオだ。 “ブラック・サイエンスフィクション”や“アフロ・フューチャリズム”は、remix誌の編集長、野田努さんの本に詳しいのでぜひ参照してほしいが、要約すると、それらは「黒人と白人の対立が深まった1960年代末に、人種と文化の対立を飛び越えるために生まれた、黒人による未来・宇宙志向」をさす。 ジョージ・クリントン率いるファンカデリックに始まり、「土星からやってきた」と公言するジャズの伝道師サン・ラや、リー・スクラッチ・ペリー、デトロイト・テクノのパイオニアであるホアン・アトキンスやデリック・メイなどアメリカの黒人が作ってきた音楽に脈々と流れるこの宇宙観が、ジェフ・ミルズの作品群にも途切れずに続いているかと思うと、ちょっと胸がアツくなる。アフリカというルーツから遠く離れた彼らにとって、宇宙というモチーフは厳しい現実から解放されるための必須ファンタジーなのだ。 そういった意味において、ジェフ・ミルズのこのMIXアルバムは、とてもファンタジックなアルバムだと言えるだろう。音だけ聞くと、正直インパクトには欠けるが、コンセプトに横たわる思想や背景のほうが、ずっと刺激的なのである。 『The Occurrence』にしろ、『Sleeper Wakes』にしろ、ジェフ・ミルズがモータウンで生まれ育ったことや黒人というバックグラウンドをもっていることを、決して感じさせないが、それこそが黒人という意識や、あらゆる過去から解放されていることの証であり、それが「テクノ」という考え方なのだ。 日本で初の試みというヴァイナル・ディスク。CDのレーベル面がアナログレコードとなっており、ターン・テーブルでの再生が可能 漫画界の巨匠、手塚治虫の『火の鳥 望郷編』のカットを掲載したライナーノーツ。手塚治虫の作品を管理している娘の手塚るみ子はテクノ好きとしても有名。漫画『火の鳥』は、イギリスのテクノバンドSYSTEM7のアルバムのモチーフにもなっている。 ※“ブラック・サイエンスフィクション”や“アフロ・フューチャリズム”については、ナウオン・メディアから発売されているDVD『The Mothership Connection:Last Angel Of History』や野田努の書籍『ブラック・マシーン・ミュージック』(河出書房新社)を参照されたし。 Text by 草刈朋子 トラックリスト: 1. Indications 2. Spacewalk (The Storm) 3. Abnormal Feeling 4. Inception 5. Hallucinations 6. Something Is Happening 7. Protons 8. Opening The Passageways 9. Infected 10. Eve 11. Satellite Retrieval 12. The Occurrence 13. A New Found Sense Of Being 14. Damaged Tether 15. From Beyond The Star 16. Reviewing The Incident 17. Transmitting Data To Mission Control 18. Re-establishing Connection 19. Spiral Galaxy 20. New Measurements 21. Peaceful Encounter 22. Determination 23. Off-line
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Sleeper Wakes / JEFF MILLS CD+Tシャツセット L
¥8,381
2012年正月に宇宙から帰還したテクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズの貴重なる宇宙みやげ 「ターン・テーブルの魔術師」とか「宇宙人DJ」とか、さまざまな異名をもつデトロイト出身のテクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズ。決して本人から言い出したことではないと思うのだが、彼はこれまでに、その呼び名に対する解答のような作品をいくつか発表してきたように思う。 たとえば、「ターン・テーブルの魔術師」という呼び名に対しては、その超絶テクニックをくまなく見られるように、ターン・テーブル上の彼の手元がよく見えるように正面・上・横からのムービーカメラでDJプレイおさえたDVD『EXHIBITIONIST』を発表した。2004年のことである。 翌年の2005年には、まるで「宇宙人DJ」という呼び名に呼応するように「宇宙人サイドからの人類との遭遇」というコンセプトを打ち出したアルバム『Contact special』をリリースした。宇宙ネタはこれだけでは終わらず、続く2006年には彼自身が宇宙に旅立つという設定のアルバム『One man Spaceship』を発表したのである。そして、「宇宙旅行から2010年1月1日に日本に還ってくる」という予言を残して、ジェフは日本を、いや地球を去ったのだ。 それから3年間、ジェフ・ミルズは来日していない。いや、正確に言うと、2回ほど姿を現した。一度目は2008年のこと。場所は東京六本木ヒルズの52階のラウンジに、オンラインを通じてジェフからの「水星付近からの通信」が送られた。二度目は、2009年8月のWIRE09だ。国際宇宙センターのコントロールルームのごとき空間が会場内に作られ、そこで衛星中継を通じて、宇宙空間からのDJパフォーマンスが披露されたのだ。そこで新作として発表されたのが「Space Walk」で、その年の12月には、予言の先駆けのように「Space Walk」を含む12曲入りのアルバム『Sleeper Wakes』が発表された。そして、2010年元旦の0:01きっかりに、日本の渋谷にある彼の常箱であったWOMBのカウントダウンイベントに、ジェフ・ミルズは帰還したのである。 そんなわけで、本作『Sleeper Wakes』は、ジェフの宇宙体験をまとめたスペース・シンフォニー・テクノ・アルバムなのだ。その発売……もとい宇宙からの帰還を記念して限定販売されたのが、このTシャツパックだ。宇宙みやげのように、宇宙から見た地球を配置したTシャツと、螺旋がデザインされたドッグタグがセットされている。 尚、この小芝居めいたプロジェクトは、次作にも続いている。宇宙に彼は何を見ているのか、あるいは宇宙に行かざるを得ないのか、この続きは、『The Occurrence』のレビューで。 CDジャケット裏には、地球から7000光年の距離にある「かに星雲」のスペクタクルな光景が広がる。ジェフはこんな宇宙体験を語っている。「外部レーダー・モジュールの修理のために、かに星雲付近を宇宙遊泳していたところ、予想外の放射線攻撃を受けました。その攻撃を仕掛けてきた悪質な物体には、未知の生命体反応があり、僕は幸運にもその一つを捕らえることに成功しました。この生命体を検査したところ、敵意や危険がないどころか、無害で穏やかな種であると判断できました。さらなるテストと検査が、僕の帰還までの間に行われる予定になっています」 ライナーノーツの代わりに配置された螺旋状のアートワーク。これはジェフが宇宙空間で味わった感覚体験の変化を表したもの(のハズ)。ジェフはこのように語っている。「(地球上と宇宙空間での創作活動における)最大の違いは、全ての物から隔離されているということ。地球の円運動や回転といった物理現象から解放されるため、無限に拡大していく宇宙での物質運動によって、私の本能に変化が生じました。さらに、秩序や連続性といった、音楽をつくる上で鍵となる要素も影響を受けました。それによって、様々な音を活性化させ、音をより自由に選択できる方法を発見しました」 Tシャツは、ダンスフロアのブラックライトのもとで、地球の上に配置された同心円がぼうっと浮かび上がる電波な蓄光タイプ。Tシャツ制作は、ミュージシャンやアーティストとのコラボTシャツでも有名なmuseum neuが手がけた。 Text by 草刈朋子 発売日::2009/12/9 レーベル: Third-Ear 収録時間: 73 分 トラックリスト: 1. Eve/Crab Nebula 2. Space Walk 3. Radiation Storm 4. Oxide Garden 5. Burn Off/Approaching Europa/Docking Procedure 6. Satellite Retrieval / The Occurrence 7. The Visitor 8. Diametric 9. From Beyond The Star 10. A Peaceful Encounter 11. Mysterious Stars 12. Metaphysical Reaction アルバム「Sleeper Wakes」に関して The Sleeper Wakes is project about Great Change. With giant leaps forward, our ideas about sound and what we expect becomes replaced by the ideas made by our extreme actions and deeper consciousness towards the unfathomable levels of the human capacity. For this to occur, the genuine search for new inspirations had to begin. The Sleeper Wakes officially began 10.28.2006 06:01. Since then, research and planning for the creation of new sounds has been an excessive and painstaking journey, but nevertheless, fulfilling and a justification to move onward to new heights. Thus, by applying an intuitive and instinctive approach to communicating through sound, hopefully, the Sleeper Wakes can serve as passages to new opportunities. The Sleeper Wakes explores time and the absence of it. It explores the various methods of creating sound for a specific time in Space for our future, the preparation and calculation of what could and will be and most importantly, what we do with this sensitive and rare opportunity. Jeff Mills The Sleeperとは「偉大なる変化」にまつわるプロジェクトである。我々の音楽に対する考えや期待は、「人間の極限の行動と深い意識は、私たちの計り知れない可能性のレベルへと向かっている」という考え方に置き換えられる。それは、新たなインスピレーションの為の徹底的な探求を始めなければならない、という事である。 The Sleeper Wakesは正確には2006年10月28日午前6時1分に開始した。それ以来、新しい音の創造のためのリサーチと計画は膨大で困難を極める作業であると同時に、充実した、新たな次元に到達するための正当な手段であると感じている。音を通して直観的なコミュニケーションをとることで、The Sleeper Wakesが新しい可能性への道を切り開くことになることを期待している。 The Sleeperは時間と、また時間が存在しない空間を探検しつつ、未来の特定の時間の為の音楽を制作する方法を探索している。この繊細でレアな機会がどのようなものなのか、さらに重要なことは、この機会をどのように有効活用するのか、という測定と準備をしているのだ。 ジェフ・ミルズ
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Sleeper Wakes / JEFF MILLS CD+Tシャツセット M
¥8,381
2012年正月に宇宙から帰還したテクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズの貴重なる宇宙みやげ 「ターン・テーブルの魔術師」とか「宇宙人DJ」とか、さまざまな異名をもつデトロイト出身のテクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズ。決して本人から言い出したことではないと思うのだが、彼はこれまでに、その呼び名に対する解答のような作品をいくつか発表してきたように思う。 たとえば、「ターン・テーブルの魔術師」という呼び名に対しては、その超絶テクニックをくまなく見られるように、ターン・テーブル上の彼の手元がよく見えるように正面・上・横からのムービーカメラでDJプレイおさえたDVD『EXHIBITIONIST』を発表した。2004年のことである。 翌年の2005年には、まるで「宇宙人DJ」という呼び名に呼応するように「宇宙人サイドからの人類との遭遇」というコンセプトを打ち出したアルバム『Contact special』をリリースした。宇宙ネタはこれだけでは終わらず、続く2006年には彼自身が宇宙に旅立つという設定のアルバム『One man Spaceship』を発表したのである。そして、「宇宙旅行から2010年1月1日に日本に還ってくる」という予言を残して、ジェフは日本を、いや地球を去ったのだ。 それから3年間、ジェフ・ミルズは来日していない。いや、正確に言うと、2回ほど姿を現した。一度目は2008年のこと。場所は東京六本木ヒルズの52階のラウンジに、オンラインを通じてジェフからの「水星付近からの通信」が送られた。二度目は、2009年8月のWIRE09だ。国際宇宙センターのコントロールルームのごとき空間が会場内に作られ、そこで衛星中継を通じて、宇宙空間からのDJパフォーマンスが披露されたのだ。そこで新作として発表されたのが「Space Walk」で、その年の12月には、予言の先駆けのように「Space Walk」を含む12曲入りのアルバム『Sleeper Wakes』が発表された。そして、2010年元旦の0:01きっかりに、日本の渋谷にある彼の常箱であったWOMBのカウントダウンイベントに、ジェフ・ミルズは帰還したのである。 そんなわけで、本作『Sleeper Wakes』は、ジェフの宇宙体験をまとめたスペース・シンフォニー・テクノ・アルバムなのだ。その発売……もとい宇宙からの帰還を記念して限定販売されたのが、このTシャツパックだ。宇宙みやげのように、宇宙から見た地球を配置したTシャツと、螺旋がデザインされたドッグタグがセットされている。 尚、この小芝居めいたプロジェクトは、次作にも続いている。宇宙に彼は何を見ているのか、あるいは宇宙に行かざるを得ないのか、この続きは、『The Occurrence』のレビューで。 CDジャケット裏には、地球から7000光年の距離にある「かに星雲」のスペクタクルな光景が広がる。ジェフはこんな宇宙体験を語っている。「外部レーダー・モジュールの修理のために、かに星雲付近を宇宙遊泳していたところ、予想外の放射線攻撃を受けました。その攻撃を仕掛けてきた悪質な物体には、未知の生命体反応があり、僕は幸運にもその一つを捕らえることに成功しました。この生命体を検査したところ、敵意や危険がないどころか、無害で穏やかな種であると判断できました。さらなるテストと検査が、僕の帰還までの間に行われる予定になっています」 ライナーノーツの代わりに配置された螺旋状のアートワーク。これはジェフが宇宙空間で味わった感覚体験の変化を表したもの(のハズ)。ジェフはこのように語っている。「(地球上と宇宙空間での創作活動における)最大の違いは、全ての物から隔離されているということ。地球の円運動や回転といった物理現象から解放されるため、無限に拡大していく宇宙での物質運動によって、私の本能に変化が生じました。さらに、秩序や連続性といった、音楽をつくる上で鍵となる要素も影響を受けました。それによって、様々な音を活性化させ、音をより自由に選択できる方法を発見しました」 Tシャツは、ダンスフロアのブラックライトのもとで、地球の上に配置された同心円がぼうっと浮かび上がる電波な蓄光タイプ。Tシャツ制作は、ミュージシャンやアーティストとのコラボTシャツでも有名なmuseum neuが手がけた。 Text by 草刈朋子 発売日::2009/12/9 レーベル: Third-Ear 収録時間: 73 分 トラックリスト: 1. Eve/Crab Nebula 2. Space Walk 3. Radiation Storm 4. Oxide Garden 5. Burn Off/Approaching Europa/Docking Procedure 6. Satellite Retrieval / The Occurrence 7. The Visitor 8. Diametric 9. From Beyond The Star 10. A Peaceful Encounter 11. Mysterious Stars 12. Metaphysical Reaction アルバム「Sleeper Wakes」に関して The Sleeper Wakes is project about Great Change. With giant leaps forward, our ideas about sound and what we expect becomes replaced by the ideas made by our extreme actions and deeper consciousness towards the unfathomable levels of the human capacity. For this to occur, the genuine search for new inspirations had to begin. The Sleeper Wakes officially began 10.28.2006 06:01. Since then, research and planning for the creation of new sounds has been an excessive and painstaking journey, but nevertheless, fulfilling and a justification to move onward to new heights. Thus, by applying an intuitive and instinctive approach to communicating through sound, hopefully, the Sleeper Wakes can serve as passages to new opportunities. The Sleeper Wakes explores time and the absence of it. It explores the various methods of creating sound for a specific time in Space for our future, the preparation and calculation of what could and will be and most importantly, what we do with this sensitive and rare opportunity. Jeff Mills The Sleeperとは「偉大なる変化」にまつわるプロジェクトである。我々の音楽に対する考えや期待は、「人間の極限の行動と深い意識は、私たちの計り知れない可能性のレベルへと向かっている」という考え方に置き換えられる。それは、新たなインスピレーションの為の徹底的な探求を始めなければならない、という事である。 The Sleeper Wakesは正確には2006年10月28日午前6時1分に開始した。それ以来、新しい音の創造のためのリサーチと計画は膨大で困難を極める作業であると同時に、充実した、新たな次元に到達するための正当な手段であると感じている。音を通して直観的なコミュニケーションをとることで、The Sleeper Wakesが新しい可能性への道を切り開くことになることを期待している。 The Sleeperは時間と、また時間が存在しない空間を探検しつつ、未来の特定の時間の為の音楽を制作する方法を探索している。この繊細でレアな機会がどのようなものなのか、さらに重要なことは、この機会をどのように有効活用するのか、という測定と準備をしているのだ。 ジェフ・ミルズ
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Sleeper Wakes / JEFF MILLS CD+Tシャツセット S
¥8,381
2012年正月に宇宙から帰還したテクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズの貴重なる宇宙みやげ 「ターン・テーブルの魔術師」とか「宇宙人DJ」とか、さまざまな異名をもつデトロイト出身のテクノ・アーティスト、ジェフ・ミルズ。決して本人から言い出したことではないと思うのだが、彼はこれまでに、その呼び名に対する解答のような作品をいくつか発表してきたように思う。 たとえば、「ターン・テーブルの魔術師」という呼び名に対しては、その超絶テクニックをくまなく見られるように、ターン・テーブル上の彼の手元がよく見えるように正面・上・横からのムービーカメラでDJプレイおさえたDVD『EXHIBITIONIST』を発表した。2004年のことである。 翌年の2005年には、まるで「宇宙人DJ」という呼び名に呼応するように「宇宙人サイドからの人類との遭遇」というコンセプトを打ち出したアルバム『Contact special』をリリースした。宇宙ネタはこれだけでは終わらず、続く2006年には彼自身が宇宙に旅立つという設定のアルバム『One man Spaceship』を発表したのである。そして、「宇宙旅行から2010年1月1日に日本に還ってくる」という予言を残して、ジェフは日本を、いや地球を去ったのだ。 それから3年間、ジェフ・ミルズは来日していない。いや、正確に言うと、2回ほど姿を現した。一度目は2008年のこと。場所は東京六本木ヒルズの52階のラウンジに、オンラインを通じてジェフからの「水星付近からの通信」が送られた。二度目は、2009年8月のWIRE09だ。国際宇宙センターのコントロールルームのごとき空間が会場内に作られ、そこで衛星中継を通じて、宇宙空間からのDJパフォーマンスが披露されたのだ。そこで新作として発表されたのが「Space Walk」で、その年の12月には、予言の先駆けのように「Space Walk」を含む12曲入りのアルバム『Sleeper Wakes』が発表された。そして、2010年元旦の0:01きっかりに、日本の渋谷にある彼の常箱であったWOMBのカウントダウンイベントに、ジェフ・ミルズは帰還したのである。 そんなわけで、本作『Sleeper Wakes』は、ジェフの宇宙体験をまとめたスペース・シンフォニー・テクノ・アルバムなのだ。その発売……もとい宇宙からの帰還を記念して限定販売されたのが、このTシャツパックだ。宇宙みやげのように、宇宙から見た地球を配置したTシャツと、螺旋がデザインされたドッグタグがセットされている。 尚、この小芝居めいたプロジェクトは、次作にも続いている。宇宙に彼は何を見ているのか、あるいは宇宙に行かざるを得ないのか、この続きは、『The Occurrence』のレビューで。 CDジャケット裏には、地球から7000光年の距離にある「かに星雲」のスペクタクルな光景が広がる。ジェフはこんな宇宙体験を語っている。「外部レーダー・モジュールの修理のために、かに星雲付近を宇宙遊泳していたところ、予想外の放射線攻撃を受けました。その攻撃を仕掛けてきた悪質な物体には、未知の生命体反応があり、僕は幸運にもその一つを捕らえることに成功しました。この生命体を検査したところ、敵意や危険がないどころか、無害で穏やかな種であると判断できました。さらなるテストと検査が、僕の帰還までの間に行われる予定になっています」 ライナーノーツの代わりに配置された螺旋状のアートワーク。これはジェフが宇宙空間で味わった感覚体験の変化を表したもの(のハズ)。ジェフはこのように語っている。「(地球上と宇宙空間での創作活動における)最大の違いは、全ての物から隔離されているということ。地球の円運動や回転といった物理現象から解放されるため、無限に拡大していく宇宙での物質運動によって、私の本能に変化が生じました。さらに、秩序や連続性といった、音楽をつくる上で鍵となる要素も影響を受けました。それによって、様々な音を活性化させ、音をより自由に選択できる方法を発見しました」 Tシャツは、ダンスフロアのブラックライトのもとで、地球の上に配置された同心円がぼうっと浮かび上がる電波な蓄光タイプ。Tシャツ制作は、ミュージシャンやアーティストとのコラボTシャツでも有名なmuseum neuが手がけた。 Text by 草刈朋子 発売日::2009/12/9 レーベル: Third-Ear 収録時間: 73 分 トラックリスト: 1. Eve/Crab Nebula 2. Space Walk 3. Radiation Storm 4. Oxide Garden 5. Burn Off/Approaching Europa/Docking Procedure 6. Satellite Retrieval / The Occurrence 7. The Visitor 8. Diametric 9. From Beyond The Star 10. A Peaceful Encounter 11. Mysterious Stars 12. Metaphysical Reaction アルバム「Sleeper Wakes」に関して The Sleeper Wakes is project about Great Change. With giant leaps forward, our ideas about sound and what we expect becomes replaced by the ideas made by our extreme actions and deeper consciousness towards the unfathomable levels of the human capacity. For this to occur, the genuine search for new inspirations had to begin. The Sleeper Wakes officially began 10.28.2006 06:01. Since then, research and planning for the creation of new sounds has been an excessive and painstaking journey, but nevertheless, fulfilling and a justification to move onward to new heights. Thus, by applying an intuitive and instinctive approach to communicating through sound, hopefully, the Sleeper Wakes can serve as passages to new opportunities. The Sleeper Wakes explores time and the absence of it. It explores the various methods of creating sound for a specific time in Space for our future, the preparation and calculation of what could and will be and most importantly, what we do with this sensitive and rare opportunity. Jeff Mills The Sleeperとは「偉大なる変化」にまつわるプロジェクトである。我々の音楽に対する考えや期待は、「人間の極限の行動と深い意識は、私たちの計り知れない可能性のレベルへと向かっている」という考え方に置き換えられる。それは、新たなインスピレーションの為の徹底的な探求を始めなければならない、という事である。 The Sleeper Wakesは正確には2006年10月28日午前6時1分に開始した。それ以来、新しい音の創造のためのリサーチと計画は膨大で困難を極める作業であると同時に、充実した、新たな次元に到達するための正当な手段であると感じている。音を通して直観的なコミュニケーションをとることで、The Sleeper Wakesが新しい可能性への道を切り開くことになることを期待している。 The Sleeperは時間と、また時間が存在しない空間を探検しつつ、未来の特定の時間の為の音楽を制作する方法を探索している。この繊細でレアな機会がどのようなものなのか、さらに重要なことは、この機会をどのように有効活用するのか、という測定と準備をしているのだ。 ジェフ・ミルズ
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Bagdad Batteries / THE ORB CD+Tシャツセット L
¥8,229
SOLD OUT
クラブ帰りの明け方に聴きたいジ・オーブのマスターピースを数量限定Tシャツとセットで! イギリスのアンビエント・テクノの重鎮、ジ・オーブの『Baghdad Batteries』の発売を記念して行なわれた来日ツアー。これは、京都・名古屋・東京の会場名がプリントされた限定ツアーTシャツとCDのセットである。 『Baghdad Batteries』は、ドイツ人のヴェルナー・ブーテ監督の映画『Plastic Planet』のサウンド・トラックをきっかけに制作されたものだ。プラスティックが生命や人類に及ぼす影響を描いた90分のドキュメンタリー映画で日本ではまだ公開が決定していない(2010年7月現在)。 契約上、映画と同名のタイトルを付けることはできなかったとして、アレックス・パターソンは「バグダッド・バッテリー」というタイトルを考えた。 バグダッド・バッテリーとは、1936年にイラクの首都バグダッド近郊のホイヤット・ランプファ遺跡で発見された約2000年前の土器の壺。土器の内部に銅版で出来た円筒があり、アスファルトで出来たふたで円筒と鉄棒は絶縁されていることなどから、古代の電池だったのではないかという論争があった代物だ。 WEBマガジンOTOTOYのインタビューでアレックス・パターソンは、「古代テクノロジーをタイトルにすることによって〈テクノロジーの進化〉というテーマで映画と関連を持たすことにしたんだ」と語っている。そんな企画性もあってか、ジャケットやライナーノーツにはレモンに電極をさした「レモン電池」が描かれている。Tシャツのモチーフや地色もレモンであり、ピリリとしながらかわいらしさをも漂わせる。 さて、本作はオーブ初期の頃からの盟友でありジャーマン・テクノの大御所、トーマス・フェルマンを迎えてORBSESSIONSシリーズの第3弾として作られた。聴いてみると、実にオーブらしい多層に重なった美しい環境音楽で、力を抜くことを楽しむ「チル・アウト」なひとときに聴くととてもハマる。 かつてクラブ帰りの明け方に、家で環境音楽をよく聴いていたというアレックス・パターソン。そのとき聴いていたブライアン・イーノやタンジェン・ドリームなどの楽曲をミックスし、ハウスやヒッポ・ホップのビートを加えながら、チルアウト・ミュージックを追求していったのが、ジ・オーブの始まりともいう。 本作のやさしげなアンビエントのメロディーは、そんなジ・オーブの原点とも言えるサウンド。リラックスしたいときにもってこいのアルバムだ。 太古の電池名をタイトルにし、レモン電池の写真をデザインしたジャケット。レモンに電極をさすと電流が流れるって知ってた? レモン電池の取説書のようなライナーノーツ。日本語解説は朝日新聞の記者である近藤康太郎が執筆。 Tシャツのバックには2009年9月に行なわれた来日ツアーの日程と会場名がプリントされていて、ファンにはうれしい一品。 Text by 草刈朋子 _ トラックリスト: 1 Styrofoam Meltdown 2 Chocolate Fingers 3 Baghdad Batteries 4 Ravens Reprise 5 Dolly Unit 6 Super Soakers 7 Suburban Smog 8 Orban Tumbleweed 9 Pebbles 10 Woodlarkin 11 OOPA *bonus track 12 Dolly Unit (Majestic Flowing Remix)
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Bagdad Batteries / THE ORB CD+Tシャツセット M
¥8,229
SOLD OUT
クラブ帰りの明け方に聴きたいジ・オーブのマスターピースを数量限定Tシャツとセットで! イギリスのアンビエント・テクノの重鎮、ジ・オーブの『Baghdad Batteries』の発売を記念して行なわれた来日ツアー。これは、京都・名古屋・東京の会場名がプリントされた限定ツアーTシャツとCDのセットである。 『Baghdad Batteries』は、ドイツ人のヴェルナー・ブーテ監督の映画『Plastic Planet』のサウンド・トラックをきっかけに制作されたものだ。プラスティックが生命や人類に及ぼす影響を描いた90分のドキュメンタリー映画で日本ではまだ公開が決定していない(2010年7月現在)。 契約上、映画と同名のタイトルを付けることはできなかったとして、アレックス・パターソンは「バグダッド・バッテリー」というタイトルを考えた。 バグダッド・バッテリーとは、1936年にイラクの首都バグダッド近郊のホイヤット・ランプファ遺跡で発見された約2000年前の土器の壺。土器の内部に銅版で出来た円筒があり、アスファルトで出来たふたで円筒と鉄棒は絶縁されていることなどから、古代の電池だったのではないかという論争があった代物だ。 WEBマガジンOTOTOYのインタビューでアレックス・パターソンは、「古代テクノロジーをタイトルにすることによって〈テクノロジーの進化〉というテーマで映画と関連を持たすことにしたんだ」と語っている。そんな企画性もあってか、ジャケットやライナーノーツにはレモンに電極をさした「レモン電池」が描かれている。Tシャツのモチーフや地色もレモンであり、ピリリとしながらかわいらしさをも漂わせる。 さて、本作はオーブ初期の頃からの盟友でありジャーマン・テクノの大御所、トーマス・フェルマンを迎えてORBSESSIONSシリーズの第3弾として作られた。聴いてみると、実にオーブらしい多層に重なった美しい環境音楽で、力を抜くことを楽しむ「チル・アウト」なひとときに聴くととてもハマる。 かつてクラブ帰りの明け方に、家で環境音楽をよく聴いていたというアレックス・パターソン。そのとき聴いていたブライアン・イーノやタンジェン・ドリームなどの楽曲をミックスし、ハウスやヒッポ・ホップのビートを加えながら、チルアウト・ミュージックを追求していったのが、ジ・オーブの始まりともいう。 本作のやさしげなアンビエントのメロディーは、そんなジ・オーブの原点とも言えるサウンド。リラックスしたいときにもってこいのアルバムだ。 太古の電池名をタイトルにし、レモン電池の写真をデザインしたジャケット。レモンに電極をさすと電流が流れるって知ってた? レモン電池の取説書のようなライナーノーツ。日本語解説は朝日新聞の記者である近藤康太郎が執筆。 Tシャツのバックには2009年9月に行なわれた来日ツアーの日程と会場名がプリントされていて、ファンにはうれしい一品。 Text by 草刈朋子 _ トラックリスト: 1 Styrofoam Meltdown 2 Chocolate Fingers 3 Baghdad Batteries 4 Ravens Reprise 5 Dolly Unit 6 Super Soakers 7 Suburban Smog 8 Orban Tumbleweed 9 Pebbles 10 Woodlarkin 11 OOPA *bonus track 12 Dolly Unit (Majestic Flowing Remix)
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CocoRosie/Grey Oceans CD
¥2,546
恐るべし! ヒゲを生やした美人姉妹ユニットによる幻想的でダークな音楽、アート、ファッションの世界 オペラやヒップホップをバックグラウンドに持つシエラとビアンカという姉妹グループCocoRosie。 彼女たちはアンダーグラウンドなフリー・フォーク・シーンの中でもひときわユニークな存在だ。姉のシエラはハープ、ピアノを担当し、妹のビアンカは打楽器と打ち込みリズムを担当し、テープ・ループを使ったコラージュ的なサウンドを披露する。デヴェンドラ・バンハートやアントニーとの交流も深く、幅広い層からの注目を集めている。 2人はアメリカで育ち、パリで音楽活動を始め、05年に発売された「Noah's Ark」で一躍有名に。独特なボーカルと幻想的なサウンドは、ひとたび聴くと頭から離れない強烈な印象を残し、知らず知らずのうちに病み付きになってしまう。 彼女たちの詳しいプロフィールを紹介しよう。 姉のシエラはアイオワ生まれ、妹のビアンカはハワイで生まれ、父はスピリチュアリスト、母は芸術家という家庭に育ち、とある事情から別々の土地で人生を歩み始める。ビアンカは9歳から詩を書き始め、街角やカフェで歌い、シエラはゴスペルや黒人霊歌と出会い歌を始める。歌手としての教育を受ける中でオペラからだけでは得られない何かへの欲求がくすぶっていた。ビアンカがパリの空港からフランスに移り住んでいたシエラに電話をかけて03年に運命の再会を果たす。 ビアンカとシエラは、その後8ヶ月かけ、04年の初めに『La Maison de Mon Reve』を制作する。ここに初めてCocoRosieが誕生するのである。『La Maison de Mon Reve』を発表した後、ブライト・アイズ、TV・オン・ザ・レディオ、アントニー・アンド・ザ・ジョンソンズ、デヴェンドラ・バンハート、ブロンド・レッドヘッドなどとの共演を果たす。05年『Noah’s Ark』、07年『The Adventures of Ghosthorse and Stillborn』とリリースを重ね、NYのプラダのショーで全面的に彼女たちの曲が使用されるなど、ファッション界からの注目も高い。 08年は作曲を中心に活動し、レコーディングはブエノスアイレス、パリ、ベルリン、ニューヨーク、メルボルンなどさまざまな場所でレコーディングを行う。自主製作盤として2009年に『Coconuts, Plenty of Junk Food』EPをリリース。それに引き続くかたちで3年ぶりになるアルバムがこの『Grey Oceans』なのである。彼女たちの母が70年代にレコーディングしたというテープを元に収録曲「Undertake」を制作、1年半以上をレコーディングに費やした今作は、彼女達が持っている神秘的な霊的エクスタシーへぐいぐいと引きずり込まれる名盤だ。 初期のサイケデリック&フォーキーなテイストから徐々にサウンドを進化させ、ヒップホップをはじめとする様々な要素を吸収しつつも、ダークだがファンタジックな2人のハーモニーがCocoRosieの特徴だ。国内盤には、Sub Popからリリースされた7"「Lemonade / Surfer Girl」のB面に収録されていたTHE BEACH BOYSのカバー「Surfer Girl」、配信のみのリリースだった楽曲「St. Michael」、そして「lemonade」のミュージック・ビデオがボーナストラックとして収録されている。 また2011年1月の初来日に併せ、“ココ”ことビアンカ・キャサディの個展が日本で開催された。彼女はジェフリー・ダイチの『ダイチ・プロジェクツ』がニューヨークの若手注目アーティストを特集した際、重要アーティストの1人として展覧会に参加するなど、音楽だけでなくアート界でも注目されている。今回はこれまで描き溜められたドローイングや新作のほか、初めて訪れる東京のインスピレーションを基に制作されたインスタレーション作品が展示される予定だ。ビアンカの作品は、死に神、十字架、骨などの宗教的で暗い題材を、ポップな色を使って描く作品は、生と死を意識させる夢の絵のようでもあり、墓場のようでもある。 中国やブラジルでも1000人以上が集まる彼女たちのライブの幻想的空間は、まさにアーティスティックでユーモアが満載だ。こうした彼女たちのパフォーマンスに彩りを添えているのが、浮き世離れした音楽性だ。様々な生楽器、テープ・ループ、エレクトロニカ・タッチの電子音、そして童謡調、ジャズ調、オペラ調と、変幻自在の歌声、それらの要素が渾然一体となり、幻想的サウンドをつくり出している。音楽、アート、ファッションのジャンルを自在に行き来するCocoRosieは、今後も目が離せない。 text by 小池_弘 01. Trinity's Crying 02. Smokey Taboo 03.Hopscotch 04.Undertaker 05.Grey Oceans 06. R.I.P. Burn Face 07. The Moon Asked The Crow 08. Lemonade 09. Gallows 10. Fairly Paradise 11. Here I Come Bonus track 12. Surfer Girl 13. St. Michael 14. Lemonade video (CD Extra)
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Wildbirds & Peacedrums/Heartcore CD
¥2,037
スウェーデン発!女性ボーカルと男性ドラムの異色編成デュオの鮮烈デビューアルバム 魅力的な男女デュオといえば、WHITE STRIPESを筆頭にROYAL TRUX、KILLS、QUASI、HIGH PLACES、BLOOD RED SHOESなどが思い浮かぶ。 1980年代の音楽ファンにはEurythmicsやTOM TOM CLUBなども、懐かしい男女デュオと呼べるかもしれない。 Wildbirds&Peacedrumsは未知の可能性を秘めた変幻自在の歌声を持つMariam Wallentinと、タイトにリズムをキープしながらボーカルに絡みつくAndreas Werliinのドラム2人組という、イレギュラーな編成がこのバンドのユニークなところだ。彼女たちの、この上なくシンプルで斬新なサウンドは地元スウェーデンで評判となり、07年にデビューし世界に羽ばたいた。 ジャズ、ブルース、ポップス、ガレージ、アヴァン、サイケデリック、インダストリアル、ポストロックなどなど様々なエッセンスを吸い込みながら、タイトにソリッドに連打される疾走感のあるナンバーがひしめく。ギターやベースがなくてもこれほどパワフルなのは、2人の作り出すサウンドが、これまで見たことも聞いたこともない化学反応を起こしているからなのだ。 先日の来日公演を見た人は特によくわかると思うが、ボーカルを務めるMariam嬢のルックスの美しさがパフォーマンスをさらに際立ったものにしている。ステージに立つのはMariam WallentinとAndreas Werliinの2人だけ。それなのに、美しいビジュアルと音が鳴り響くと、その心配はもう無用だ。もはや圧倒的な2人のパフォーマンスを見逃すことができす、リズムに合わせてただ凝視し続けるしかないのだ。 Wildbirds & Peacedrumsのプロフィールを簡単に紹介しよう。 ボーカルのMariam WallentinとドラマーのAndreas Werliinが母国スウェーデンで音楽活動を始めたのは04年。自ら限定でリリースしたCD-Rが注目を集め、07年には地元スウェーデンのレーベルFOUND YOUからファースト・アルバム『HEARTCORE』でデビューする。女性ボーカルとドラムというシンプルな編成の男女デュオの人気は、とどまることを知らず、 ファースト・アルバム『HEARTCORE』がPSAPP、MURCOF、CARIBOUなどでおなじみ、英国リーズの名門レーベルLEAFから08年にワールドワイドに再発され、一気にこの男女デュオの名前が世界中に轟いたのだ。 とにかく彼女たちのサウンドとパフォーマンスは、他に比べられるものがない。ドラムとパーカッションのみで作られるパワフルで重厚なサウンド。そこに力強く放たれる圧倒的にブルージーだが甘みもあるふくよかな歌声。こんなにシンプルな編成であるのに、2人の放つ世界は実にエモーショナルでメロディアス。 Andreasのドラムとパーカッションを駆使した細やかなリズムに乗って、Mariam嬢の歌声は自在に変化し、どこまでもシンプルなビートの旋律を華麗に跳ね回る。彼女の声は低くて太いのだが、声の太い女性シンガー特有のハスキーな印象はなく、むしろ可愛らしく奥行きと丸みがある。また声量も圧倒的だ。 彼女の声は少女のようなあどけなさを残しながらも、姉御のような迫力も兼ね備えており、曲に応じて歌声を使い分けているのが見事だ。これに彼女の美しいルックスが重なれば、怖いものはない。激しい曲は強烈な迫力で、やさしい曲はより繊細に見せてくれる。そんな彼女たちがブレイクするきっかけとなった、このデビューアルバムを聞かない理由はどこにもない。 text by 小池_弘 01. Pony 02. The way things go 03. Bird 04. I can’t tell in his eyes 05. Doubt / Hope 06. A story from a chair 07. The battle in water 08. The ones that should save me get me down 09. Lost love 10. The window 11. Nakina 12. We hold each other song
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Wildbirds & Peacedrums/The Snake CD
¥2,139
スウェーデン発男女デュオが世界へ! コアな音楽ファンからファッション界にまで旋風を巻き起こした大ブレイクのセカンド・アルバム 09年に発売された本作『THE SNAKE』。それに伴い初のUSツアー行い、さらにはヨーロッパではフェスティバルに引っ張りだこに。同年9月にはセカンド・アルバムのなかからキラー・チューン『MY HEART』のリミックスがリリースされる。リミキサーはDEERHOOF、HORTLAX COBRA、AUが担当。WILDBIRDS & PEACEDRUMSがいかに注目されているかがうかがえる顔ぶれである。今作収録のシングル曲 「MY HEART」 はDEERHOOF、HORTLAX COBRA FROM PETER BJORN AND JOHN、AUなどのアーティストによってリミックスされ、WILDBIRDS & PEACEDRUMSの高い注目度が窺える。 彼女たちのサウンドはジャズ、ブルース、ポップス、ガレージ、アヴァン、サイケデリック、インダストリアル、ポストロックなど、さまざまなエッセンスを吸い込みながら、タイトにソリッドに連打される疾走感のあるナンバーがひしめく。ボーカルとドラムのみで、ギターやベースがなくてもパワフルな理由は、2人の作り出す唯一無二の世界が、見たこともない化学反応を起こしているからなのだ。 Wildbirds & Peacedrumsのプロデュースを簡単に紹介しよう。 ボーカルのMariam WallentinとドラマーのAndreas Werliinが出会い音楽活動を始めたのは04年。自ら限定でリリースしたCD-Rが注目を集め、07年には地元スウェーデンのレーベルFOUND YOUからファースト・アルバム『HEARTCORE』でデビューする。女性ボーカルとドラムというシンプルな編成の異色男女デュオの人気は、留まるところを知らず、 ファースト・アルバム『HEARTCORE』がPSAPP、MURCOF、CARIBOUなどでおなじみ、英国リーズの名門レーベルLEAFから08年にワールドワイドに再発され、一気にこの男女デュオの名前が世界に轟き始めることになる。 09年にこのセカンド・アルバムをリリースし各界から絶賛の嵐が吹き荒れ、休むまもなく再び10年2月にUSツアーが決定し、コントラリードからセカンド・アルバム『THE SNAKE』が国内盤としてリリース、4月には待望の来日公演も果たした。さらには同年5月に行われたPAVEMENTキュレーションの「All Tomorrow’s Parties」に聖歌隊を率いて出演を果たし、アメリカ、ヨーロッパ、そして日本に数々の旋風を巻き起こした。 初来日公演でも我々にも見せてくれたパフォーマンスの素晴らしさは、集まった観客を驚かしてくれた。ドラム&パーカッションのみで構築されるパワフルでミニマムな空間。そこに力強く放たれる圧倒的に 気持ちのよいブルージーな歌声。こんなにシンプルな編成でありながら、その世界は実にカラフルでエモーショナル、かつメロディアスなのだ。さらにMariam嬢の可愛らしく、美しいパフォーマンスに、観客はみな釘付けにされてしまう。彼女から発せられる迫力のある歌声と美しいルックスのギャップに打ちのめされてしまうのだ。まさに2010年代の新たなスターが生まれたと言っても過言ではない。 text by 小池_弘 01. Islands 02. There is no light 03. Chain of steel 04. So soft so pink 05. Places 06. Great lines 07. Today / Tomorrow 08. Liar lion 09. Who hohoho 10. My heart
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Wildbirds & Peacedrums/Rivers CD
¥2,444
男女デュオにハズレなし! という持論も確信に変わる。スウェーデン出身、Wildbirds&Peacedrumsによる2枚組EP 10年の2月にセカンド・アルバム『ザ・スネーク』の日本盤がリリースされ、続く4月には念願の初来日ツアーを敢行。メデスキー・マーティン&ウッドやOOIOO、ディアフーフのグレッグ・ソーニア、テニスコーツといった曲者バンドやミュージシャンと夢の共演も果たすなど、まさに飛ぶ鳥落とす勢いのWildbirds&Peacedrums、2人が驚くほど短いスパンでリリースしたEPがこれだ。 『リヴァース』と名付けられた本作は、ペイヴメントがキュレーターを務めたオール・トゥモローズ・パーティーズでのライブをはじめ、聖歌隊を率いたツアーで披露された楽曲を収めた「レティナ」と、その続編である「アイリス」という2種類のEPをコンパイルした2枚組の大作だ。「Retina(網膜)」、「Iris(虹彩)」という意味を持つ言葉や、タイトルの「River(川)」からも窺えるように、テーマとして掲げられたのは“目”と“水”。 「水面に反射されるものと、眼に反射されるものの映り方がすごく似てるなあって思ったのよ。ちょっと抽象的かもしれないけど、眼に映るものが感情に影響するっていう意味もこめられているの」そう語るのはボーカルのMariam。目に映るものと水面に映るものが似ているというMariamの考え方は、とても美しくて純粋だ。 気になる本作の内容は、まさにファーストとセカンドの期待をよい意味で裏切ってくれた問題作となっている。ところが本人たちは、「やりたいことをやってみたの、ホラー映画の原点『HAXAN』のサウンドトラックを作ることをイメージしたりしたわ、ただそれだけなのよ」と、ほくそ笑む。 すべてのクワイアのアレンジは、なんと現MUMのボーカルHildur Gudnadottirである。究極にミニマルな編成の彼女たちだが、荘厳な聖歌隊のコーラスによって、汚れなき神聖な音世界を体現している。そしてのメランコリックで凛としたMariamの歌は、ユーリズミックスのアニー・レノックスのような堂々たる存在感と、TOM TOM CLUBのティナ・ウェイマスの遊び心に溢れた柔軟さを兼ね備えているともいえよう。時折、ポーティスヘッドのベス・ギボンズも彷彿とさせるから不思議だ。 ちなみに聖歌隊の面々は、Bjo¨rkの『Medulla』などでも客演したアイスランドのSchola Cantorum Reykjavik Chamber Choiが参加している。アレンジを手がけたのはMUMのボーカルHildur Gudnadottir、そしてCocoRosieやBonnie Prince Billyのエンジニアがミックスを行っている。北欧ミュージック・シーンの新たな潮流に思わず興奮してしまうのは、この文章を読んでいるみなさんも同じだろう。 アメリカにもイギリスにもないスウェーデンだからこそ生まれた新しいサウンドは、これからも世界中のオーディエンスを巻き込む台風の目となるに違いない。この2枚組EPには、そんな要素があちこちに散りばめられている。彼女たちのこれからの動向は、今のうちにチェックしておいたほうがよさそうだ。 text by 小池_弘 RETINA disc1 01. Bleed like there was no other flood 02. Tiny holes in this world 03. Under land and oversea 04. Fight for me 05. Peeling off the layers IRIS disc2 01. The wave 02. The drop 03. The course 04. The lake 05. The well Wildbirds & Peacedrums/Rivers CD ¥2,400.(本体価格 ¥2,223.)
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FIESTA SONGS / senor coconut CD
¥1,980
スターバックス・コーヒーのCMでおなじみ「スモーク・オン・ザ・ウォーター」のラテン・カバーを収録した名盤! 本作に収録されているディープ・パープル「スモーク・オン・ザ・ウォーター」は、「スターバックス ダブルショット」のCMに使われていた曲だ。ハンドメイドなアートワークを独特なアニメーションにした印象的な映像を覚えている方も多いのではないか。誰もが耳にしたことがあるあのハードロックの名曲のラテン・カバーという意表をついた選曲に問い合わせが殺到したそうだ。コーヒーのCMにこの曲を持ってくるというアイデアが実に気が利いている。今やセニョール・ココナッツがCMの曲に使用されるとてもよい時代なのだ。 アトム・ハートの名でも知られる“天才エレクトロ職人”ウーヴェ・シュミットによるプロジェクトがセニョール・ココナッツだ。1988年頃からフランクフルトをベースに活動を始め、初期にはミニマル・アシッドやアンビエントに傾倒していたが、97年頃からドイツを離れチリの首都サンチャゴに移住。その頃から彼の愛するラテン音楽に影響をうけた“エレクトロニック・ラテン・バンド”セニョール・ココナッツ”としての活動を開始させた。 これまでもユーモア溢れる衝撃のラテン・カバーで世のリスナー達に微笑みと感動を与えてきた。 03年にリリースした本作ではマイケル・ジャクソンの「ビート・イット」やシャーデーの「スムース・オペレーター」、エルトン・ジョンの「ブルー・アイズ」、ドアーズの「ライダーズ・オン・ザ・ストーム」など、これまたしみじみと唸る選曲が満載のアルバムだ。 70年代から活躍するフランスのシンセサイザー奏者、ジャン・ミッシェル・ジャールの「 Oxygene II」のラテン・カバーというマニアックな選曲に思わずニヤリ。テイ・トウワからのコメントやセニョール対談と称して細野晴臣と高橋幸宏のスケッチ・ショウとの豪華対談を収録したライナーノーツも必読だ。日本盤のみボーナストラックを5曲収録している。 このアルバムのほかにも、クラフトワークのカバーアルバム、『プレイズ クラフトワーク』やYMOをカバーした06年発表のアルバム、『プレイズYMO』がある。特に後者はYMOマニアも納得のニクイ選曲と最高に愉快でユーモラスなアレンジに加え、細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一の御三方が奇跡のゲスト参加を果たしたことでも大きな話題を呼んでおり、本作と合わせて聞くとさらに楽しめる。 セニョール・ココナッツはただの「ラテン・カバー・バンド」ではない。アトム・ハートことウーヴェ・シュミット (Uve Schmidt) というドイツ人が1人でサンプラーを駆使して、ラテン・サウンドを構築している。すべての音を一度バラバラに分解し、繋ぎ合わせる作業は、もはや職人芸に近い。ただ彼の作り出すサウンドが、完全にデジタルなのかというとそうではない。実際のライブでは楽器を使い、フルバンドで演奏しているそうだ。デジタルとアナログの双方を繋いで、これまでにないがどこかで耳にしたことがあるようなサウンドを作り出す彼の手法は、ほかの誰にも真似ができないのだ。 text by 小池_弘 01:スモーク・オン・ザ・ウォーター(チャチャチャ) 02:ネグラ・ミ・チャチャチャ(チャチャチャ) 03:ライダーズ・オン・ザ・ストーム(メレンゲ) 04:スムース・オペレーター(マンボ・チャチャチャ) 05:エル・レイ・デ・ラス・ガジュタス(グァグァンコー) 06:オキシジン(パート2)(マンボ・チャチャチャ) 07:ブルー・アイズ(ボレロ) 08:ラス・マラカス・デ・マシーン(チャチャチャ) 09:ビート・イット(メレンゲ) 10:エレクトロラティーノ(マンボ・チャチャチャ) 11:スムース・オペレーター(バージョン・スワブ) 12:スモーク・オン・ザ・ウォーター(スモーク・アンダーウォーター・リミックス) 13:エレクトロラティーノ(シングル・ヴァージョン) 14:スモーク・オン・ザ・ウォーター(オリジナル・ハムスター・リミックス) 15:ウモ・アン・エル・アグア(チャ・チャ・チャ / Smoke On The Waterスペイン語バージョン)
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The Frames/Dance The Devil CD
¥2,365
SOLD OUT
ボブ・ディランが認めたアイリッシュ・ミュージックの雄、The flamesが原点に戻って発表した名作が日本初登場! 商業的に成功を収められなかったファースト・アルバムの悔しさを胸に、自分を見つめ直す音楽放浪の旅へとアメリカに渡り、復活の機会を窺っていたThe flamesのフロントマン、グレン・ハンサード。最高傑作と称された前作「フィッツカラルド」の発表後、3年かけて制作されたのがこのサード・アルバムだ。音楽シーンへの復活を見事に果たした前作のヒリヒリした焦燥感は、やや影を潜め、自身の音楽的なヒストリーを垣間見せている。ダブリンの目抜き通りのひとつ、グラフトン通りで歌い続けていた”バスカー“と呼ばれるストリート・ミュージシャンだったグレンが自らの原点をしっかりと見つめ直した真摯でストレートなアルバムだ。 グレンは現在でもグラフトン通りに時折現れているそう。昨年のクリスマスにはギターを持って演奏するグレンの元に、ナント!U2のボノが飛び入りしセッション。その場に居合わせた人々が狂喜乱舞した映像がネットで配信されたこともある。本国アイルランドでU2に次ぐ国民的バンドだということを象徴するような出来事だ。 グレン・ハンザードはアラン・パーカー監督の音楽映画の名作『ザ・コミットメンツ』でギタリスト役を演じ、その後The flamesの元ベーシスト、ジョン・カーニーが監督を務めた『ワンス ダブリンの街角で』で主役を演じている。この映画の面白いエピソードをご存知だろうか。 1800万円という低予算で制作され、全米公開時はわずか2館でスタートしたものの、観客の口コミで132館にまで上映館を増やした。もちろん日本でも各地でロングラン上映され、グレン自身の体験を基にしたという純粋なストーリーが多くの観客の共感を呼んだ。共演者で当時パートナーだったチェコの歌手マルケタ・イルグロヴァと共に「スウェル・シーズン」として来日したのも、まだ記憶に新しい。映画のストーリー同様、2人が公私共にパートナーになったのは、ファンにとって本当に微笑ましいエピソードだった。(現在は残念ながら、別れてしまったようでまことに残念・・・・・・) 2007年ダブリン国際映画祭観客賞受賞、07年サンダンス映画祭ワールドシネマ部門観客賞受賞。さらには、この映画の主題歌である「フォーリング・スローリー」が08年アカデミー賞オリジナル歌曲賞を受賞し、グレン・ハンサードは俳優としてもミュージシャンとしても世界的に有名になった。常に映像の世界とシンクロをしながら成長を果たしたアイルランドが誇るバンド、The flamesのサード・アルバムは、彼の歴史を知った上でじっくりと聞き込んでほしい。音の隙間から一人の男の真っ直ぐな生き方がきっと見えてくるだろう。 The flamesは現在も活動を続けており、アメリカのエピタフ傘下のレーベル、アンタイ・レコードから作品をリリースしている。このレーベルはパンクロック中心のエピタフ・レコードに対し、ヒップホップ、レゲエ、カントリー、フォークなどさまざまなジャンルの音楽を紹介する良質レーベルだ。近年ではトム・ウェイツがグラミー賞を受賞した「ミュール・ヴァリエイションズ」やリズムアンドブルースの重鎮で、つい昨年待望の初来日を果たしたが、惜しくも他界したソロモン・バーク、またブッカーTやランブリン・ジャック・エリオットなども在籍している。 ここには、デビュー前のグレンの才能を認め、にいち早くエールを送ったマリアンヌ・フェイスフルも在籍しており、両者が同じレーベルにいるのは非常に感慨深い。 text by 小池_弘 01.Perfect Opening Line 02.Seven Day Mile 03.Pavement Tune 04.Plateau 05.Star Star 06.The Stars Are Underground 07.God Bless Mom 08.Rent Day Blues 09.Hollocaine 10.Neath The Beeches 11.Dance The Devil Back Into His Hole ? bonus tracks ? 12.Steal My Baby Home 13.Look Back Now 14.Taking The Hard Way Out 15.Perfect Opening Line (Hook End Version) 16.Country Song (8-track Version)
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The Frames/Fitzcarraldo CD
¥2,365
SOLD OUT
映画『ワンス ダブリンの街角で』の主演を務めたグレン・ハンザード率いるThe flamesの最高傑作! なぜThe flamesのセカンド・アルバムが素晴らしいのか。そのわけをお教えしよう。 1970年にダブリンのワーキング・クラスの生まれたグレン・ハンサードは、13歳でミュージシャンを目指し、早々と音楽的才能を開花させた。その若き才能は17歳の頃、ロン・ウッドやスチュワード・コープランド、マリアンヌ・フェイスフルらに認められるほどだった。そんな類まれなる才能の持ち主だったグレン・ハンザードが、アイランド・レコードの社長であるクリス・ブラックウェルの目に留まり、90年に結成されたのがThe flamesだ。メンバーにはアイリッシュ・ミュージックの継承者キーラのミック・クリストファーやシン・リジーのベーシスト、ブライアン・ダウニーの息子のグラハム・ダウニーや映画『ワンス ダブリンの街角で』の監督を務めたジョン・カーニーらが名を連ねていた。 92年にファースト・アルバム「Another Love Song」を発表したが、アルバムを制作するために慌てて集められたメンバーだったため、商業的な成功には至らず、瞬く間に契約を切られてしまう。憧れのミュージシャン・デビューが思うようにいかなかったグレンは、音楽の宝庫アメリカへ一人放浪の旅に出かける。アメリカ放浪の旅先で書き貯めた曲が多く収められた本作には、自分をもう一度見つめ直したグレンのミュージシャンへの情熱が凝縮された、純粋で力強い作品としてファンの間では絶賛されている。 本国アイルランドではU2に次いで人気の高いロック・バンドのThe flames。日本でこのバンドが一気に注目されるようになったきっかけは、映画『ワンス ダブリンの街角で』の影響が大きい。フロントマンであるグレン・ハンザードが主演を務めたこの映画は各地でロングラン上映され、サントラに収録されている曲を聞いてThe flamesの名を目にした人も多い。グレンのこれまでの人生を想起させる彼の役柄とストーリーが多くの共感を呼んだ。 95年にZTTに移籍し制作され、ブームタウン・ラッツのピート・プリケット、そしてトレバー・ホーンをプロデューサーに迎えた本作。時代はまさにグランジ〜オルタナティヴ全盛期のことである。今聞いてもまったく時代を感じさせないグレンのエネルギーに満ちた歌声と、それを支えるシンプルで奥行きのあるサウンドは、これからも枯れることなく、聞く者すべてを魅了するに違いない。07年にはボブ・ディランがグレンの歌声に心酔し、自らのツアーのフロント・アクトに指名している。 text by 小池_弘 01.Revelate 02.Angel At My Table 03.Fitzcarraldo 04.Evergreen 05.In This Boat Together 06.Say It To Me Now 07.Monument 08.Giving It All Away 09.Red Chord 10.Denounced 11.Your Face ?bonus tracks? 12.Roger 13.One Irish Rover 14.Sworn 15.Red Chord (Phillpott Remix) 16.Monument (DJ Mek Remix)
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Medeski Martin & Wood/Evolution in Revolution CD
¥2,852
ジャズ・ジャムバンド界を揺るがす異端児のレア音源を編集した日本独自企画盤! 17年に渡る活動の中で9枚のスタジオアルバムと数えきれないツアーを行ってきたMEDESKI? MARTIN & WOOD。このバンドほどジャンルという言葉が不要なバンドをほかに知らない。また現在ジャム・バンドと呼ばれる音楽に共通するさまざまな音楽とのブレンド、踊る楽しみ、革新的でヒップな雰囲気、その全ては彼らから始まったといっても過言ではない。 ニューヨーク・アンダーグラウンド・ジャズ・シーンから誕生したMEDESKI? MARTIN & WOODは、98年にジャズ界の名門ブルーノートと契約し、ジャズ界のエリートコースを歩みつつも、これまでのジャズの基軸を打ち破る創造力で、新たなヒッピーカルチャーとリンクするジャム・バンドシーンと感応し、より刺激的な表現を求める音楽フリークに支持されてきた。さらにルーツ・ミュージック、ワールド・ミュージックと活躍の幅を広げ、話題作には必ず彼らの名がクレジットされているほどだ。全米を代表する老舗ジャズ専門誌『JAZZ TIMES』、『DOWNBEAT』の両誌にて01年度ベスト・ジャズバンド・オブ・ザ・イヤーを受賞。02、04、06年、日本におけるフェスティバル「トゥルー・ピープルズ・セレブレーション」では2日間ともトリを務めている。08年初頭には初のキッズ・アルバム『Let’s Go Everywhere』をリリース、各メンバーが音楽講師を務める夏期合宿<CAMP MMW>を行うなど、精力的なチャレンジが尽きない。 オルガンのジョン・メデスキ、ドラムのビリー・マーティン、ベースのクリス・ウッドは1992年にグループを結成して以来、結成時からのライブ・パフォーマンスで一貫しているオルガン・トリオ的な側面に加え、ロック、ファンク、ヒップホップ、アバンギャルドな方向性など旺盛な実験を繰り返すスタジオ録音盤と、常に変化を続けて来た。特にライブ・バンドとしての評価は絶大で、ステージに置ける即興性など、いわゆるジャム感覚を持ったグループとして若者を中心にクラブなどで圧倒的な支持を得ている。 日本での「Organic Groove」や「True People‘s CELEBRATION」を筆頭に、欧米のライヴシーンやフェスなどを舞台に行ってきた数々の名演の後、近年では南米、中米、中東、北欧、東欧、地中海沿岸など様々な地域で演奏活動を行って来た彼ら。止めどないインスピレーションを具現化する為に、ひたすらライブで作り上げた音をレコーディングに落とし込むという従来とは逆の発想で誕生した『Radiolarians I,II,II』の3部作を立て続けに発表するなど、バンドとして新たなステージに到達した。さらにリミックスや秘蔵音源をたっぷり収録したボックスセット『RADIOLARIANS:THE EVOLUTIONATY SET(LIMITED)』で話題を呼んだ。 さて、今回紹介する作品は5CD+2LP+DVDという超豪華限定ボックスからの編集盤で日本独自企画の2枚組みCDだ。ボックスセットオンリーの音源も多数収録されている納得の2枚組みになっている。 最後に彼らの音楽への姿勢がよくわかる08年のLAタイムズのインタビューを紹介したい。ロッククラブやカフェでの演奏が多かった初期の活動を思い出して、オルガン担当のジョン・メデスキはこう語っている。 「ジャズクラブで居心地良く感じたことはなかったな。なぜならジャズのオーディエンスというのはいつでも聴いたことのある音楽に似たようなものを聴きたがるものだから。最初に3人でプレイした時にすぐ分かったんだ。これは、僕らならではの音楽だって。まさに今生まれている音楽であって、30年前に起こったことの繰り返しじゃないってはっきり感じたんだ」 さらに、こうも語っている。 「90年代半ばに、Phishが僕たちの曲を演奏し始めたんだ・・・曲のつなぎみたいな感じでね。で、彼らの客の一部が僕らの音楽を聴き始めた。なんだかシュールだったよ。だって自分たちでは、Sun RaやCharles Mingus、Sly Stoneなんかの影響を意識しながらプレイしていたのに、たくさんのお客さんはトレイ・アナスタシオのことを考えていたわけだからね」 ジャンルの壁を越えて活動してきたMEDESKI? MARTIN & WOODらしい潔いコメントだ。彼らの音楽に対する変わらない姿勢と情熱は、この2枚組CDには十分すぎるほど注ぎ込まれている。 text by 小池_弘 Disc 1: 01. First Light 02. Amber Gris 03. Gwyra Mi 04. Dollar Pants 05. Free Go Lily 06. Incantation 07. Chasen vs Suribachi 08. Walk Back 09. Satan Part II 10. Reliquary 11. Clifton 12. Undone Disc 2: 01. Undone (remix) Featuring Falu. Remixed by Danny Blume. 02. Flat Tires (remix) Remixed by DJ Logic. 03. Chasen vs Suribachi (remix)Produced by Mister Rourke @ The Chop Shop 04. Rolling Son (remix) Remixed by DJ OLIVE the Audio Janitor 05. Dollar Pants (live) 06. Amish Pintxos (live) 07. Walk Back (live) 08. Junkyard (live) 09. Gwyra Mi (live) 10. 10 Minutes Of Our Lives